野洲川から琵琶湖にかけの細菌群集の動態を次世代シークエンサーを用いて解析した。細菌群集を粒子付着画分(> 5.0 マイクロメートル)、及び浮遊画分(0.2 - 5.0 マイクロメートル)に分けて解析した。細菌群集の多様性は粒子付着画分の方が浮遊画分に比べて高かった。河川から湖にかけて共通していた操作的分類群(OTU)の割合は粒子付着画分では平均14%、浮遊画分では平均18%であった。細菌群集の組成は浮遊画分と粒子付着画分では有意に異なった。浮遊画分においては河川と湖では細菌群集の組成は異なった。細菌群集の組成に影響を与える要因を分析すると、溶存態の窒素、リンが群集の非類似度と有意な相関を示した。次に、河川や湖に特異的な細菌が存在するのかを検証するために各OTUを検出された比率と頻度を基準に分類した。浮遊画分で検出されたOTUの内、河川でも湖でも優占していたのはBetaproteobacteria綱に属するOTUであった。そして、河川で比較的優占することの多い細菌にはBetaproteobacteria綱、及びBacteroidetes門に属するOTUが多く、湖で比較的優占することの多い細菌にはActinobacteria門、及びAlphaproteobacteria綱に属するOTUが多かった。
平成27年度に採集した摩周湖の細菌群集について解析した。細菌の群集組成は水深により有意に異なり、群集の非類似度は水温躍層の方が深水層に比べて高かった。平成27年度に採集した全国15ヶ所の湖についても細菌の群集組成の分析は完了しており、今回調査した湖では比較的共通する細菌が優占することが明らかとなった。
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