本年度は大阪市にて発掘の4つの未公表史料より第一次都計事業にでの全154橋の[意匠]の分析を深めた。[意匠]の骨格を成す「高欄形式」「親柱形式」「照明柱形式」に加え「橋梁付属物費」「竣工年」「街路等級」「幅員」「橋長」等、計68カテゴリを導入した数量化Ⅲ類とクラスター分析を行いCL1~6に類型化した。CL1・2は格が高位で事業初中期・中後期、CL3~5は格が中位で事業初期・中期・終期、CL6は格が低位で事業中期に位置づけられること等を解明した(『大阪第一次都市計画事業の橋梁意匠にみる橋梁付属物と市街地における時空間的展開』,土木学会論文集D1(景観・デザイン),2016年9月掲載)。次に「高欄形式」「親柱形式」「照明柱形式」を外的基準とした数量化Ⅱ類では[橋梁付属物形式]の相互関係及び「構造形式」「街路等級」等が外的基準の選定に起因、水面からの見え方の再現分析では構図の橋梁面積比や[意匠]を望む距離との関係等を示した。また、広島市・長崎市に関する事業誌・橋梁図面等を関係機関調査より収集し、長崎市では第一次港湾改修事業による【面・群的】、広島市では京橋川等での【線的】な橋梁デザインの展開が確認できた。これら成果を体系づけ公表した(『近代化黎明期の水辺市街地における橋梁デザインの展開とその景観論的意義』,土木学会第36回土木史研究発表会,2016年6月発表、『Study on Development of Bridges Design Based on Urban Planning with Its Roles of Engineers and Architects in Establishing Landscape Figure during Early Modern Era』,Asian-Pacific Planning Societies2017,2017年4月投稿済)。
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