本研究は、不整地かつ障害物によるGPS使用が困難なフィールドにおける無人走行車両と、農支援アシストシステムの提案に関するものである。 我々は先の研究によって、農地などの不整地を走行可能なUGV (Unmanned Ground Vehicle)を比較的高速域(時速2~3[m/s])で、高精度な経路追従を達成し、農薬散布などに応用可能であるという知見を得ている。しかし、牽引車後退走行の自律化を達成しなければ、実用的なシステムとしての運用は難しい。牽引車両の後退制御は非ホロノミック拘束の影響を強く受ける、理論的に非常に困難な問題であるが、Path following手法を用いることで、安定的に高精度な牽引後退追従制御を実現し、実験によって、その有効性を示した。これらの研究成果について、第32回日本ロボット学会学術講演会にて発表をおこなった。 無人走行車両に加えて自律化が困難かつ、人の手が必要な作業を想定し、アシストロボットによる作業支援システムも検討、提案した。歩行アシストロボットは膝関節に受動関節(フリーリンク)を採用し、装置自体の重量の免荷や、脚接地時に脚に加わる負荷を最小限の機構でアシストすると同時に、遅延フィードバック制御(Delayed Feedback Control)によってアシスト制御を行った。実験は北海道農業研究センター内の圃場にて行い、測定内容は下肢の大腿、膝下の主要な筋の表面筋電位を被験者(計5名)を対象として行った。実験結果から腰部の二つのモータによって,大腿部(大腿二頭筋)だけでなく,膝下の筋へのアシスト効果(前脛骨筋)が認められた.これらの成果については、日本福祉工学会誌論文誌に投稿予定である。また、本研究は共同研究者である、アクティブリンク株式会社から2017年の実用化が予定されている。
|