研究課題
現行のCRISPR/Cas9 systemはgRNA発現にRNA polymerase III系プロモーターが広く利用されており、全身でgRNAの発現が誘導され、Cas9 発現のみが部位特異的に制御可能な状況である。実際に、現行のCRISPR/Cas9 system を利用して部位特異的な変異導入が試みられているが、予期しない部位での変異導入が認められている。そこでこれまでに時空間制御が可能なRNA polymerase II系プロモーターで機能するgRNA発現系ベクターの確立を行い、培養細胞レベルでは機能することを証明してきた。次にこの開発したシステムを利用して部位特異的なゲノム改変マウスの作出を試みたが、ゲノム編集された個体は得られなかった。これは現行のsystemと比較して変異導入効率が低く、マウスに応用する際にボトルネックとなることが予想できた。そこで本年度はRNA polymerase II系プロモーターを利用して、より効率よくゲノム編集が可能な系の確立に取り組んだ。具体的には、以前開発した自己スプライシング能を有するリボザイムを利用した系から、tRNAのプロセッシングを利用してgRNAが切り出す系へと切り替えた。これらのゲノム編集効率を培養細胞レベルで評価し、tRNAのプロセッシングを利用した系で若干の改善が認められた。次に、tRNAプロセッシングの系を利用して部位特異的(卵巣)なゲノム改変マウスを作出するため、CYP19およびGDF9プロモーターでgRNAが発現するベクターを構築し、部位特異的なゲノム改変マウスの作出を試みたが、目的のマウス個体は得られなかった。現在は部位特異的ではないが一般的によく利用されているプロモーターを利用して、RNA polymerase II系のプロモーターを利用した系でゲノム改変マウスが作成可能かどうかを検討している。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Science
巻: 357 ページ: 400-404
10.1126/science.aan3721