| 研究課題/領域番号 |
15J01259
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| 研究機関 | 日本大学 |
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研究代表者 |
中野 綾子 日本大学, 文理学部, 特別研究員(PD)
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| 研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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| キーワード | 読書論 / 日本近代文学 / アジア・太平洋戦争 / メディア / 出版史 |
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| 研究実績の概要 |
今年度は、（１）〈戦前〉第一次世界大戦における戦場での読書行為の日本における受容の調査・分析（２）〈戦中〉国内と戦場における書物流通の変化の調査、および戦場での読書行為の考察の2つを中心に研究を進めた。
まず、第一次世界大戦におけるアメリカ・イギリスでの戦場への書物供給について調査を行い、その情報の日本での受容状況を明らかにした。これについては現在論文を作成中である。
また、戦場における書物流通網の発達を考察するために、外地における取次の状況を考察するために、日本出版配給株式会社を中心とした外地進出についての年表の作成をおこなった。その成果は、「年表・日本語書籍の外地流通―日配を中心として」として『リテラシー史研究』9（2016/1/20）に掲載されている。
さらに書店を介さない戦場での書物の入手方法を体系立てて把握するために、手記等の調査を行い、それについてはThe Nineteenth Asian Studies Conference Japanにて、“The Expansion of Reading Environment: An Analysis of the Practice of Reading and Writing by Soldiers”とのタイトルで口頭発表を行った。
最後に本研究の柱ともなる慰問雑誌の調査として、横浜市立大学学術情報センターに所蔵される『戦線文庫』をはじめ、その他慰問雑誌の収集を継続して行っている。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、戦場での兵士の読書行為について総合的に明らかにすることを目的としている。そのための方法として、三つの研究視点を設定している。現在までに第一の〈戦前〉第一次世界大戦における戦場での読書行為の日本における受容の調査・分析、第二の〈戦中〉国内と戦場における書物流通の変化の調査、および戦場での読書行為の考察を推進し、口頭発表・論文発表などおおむね順調に行うことが出来た。
ただし慰問雑誌の収集から目録・目次翻刻の作業を行う予定であったが、当初の予定よりも目次作成予定の慰問雑誌『戦線文庫』の調査が進まず、目次作成を行っていないため人件費の執行はなかった。しかしながら、『戦線文庫』以外の慰問雑誌の収集が予想より進んでいるため今後は他の慰問雑誌も含めて分析を行っていくことが可能となってきている。
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| 今後の研究の推進方策 |
今後は、（２）〈戦中〉国内と戦場における書物流通の変化の調査、および戦場での読書行為の考察と（３）〈戦後〉戦場での読書行為が小説テクストや表現に及ぼした影響関係の考察を中心にして研究を進めていく。また今年度の研究については、成果の発表につとめる。
進行が遅れている慰問雑誌の目録化については、講談社に所蔵されている『陣中倶楽部』に収録されている小説の分析、そして横浜市立大学学術情報センターに所蔵されていない海軍用慰問雑誌『戦線文庫』の端本の収集、そして内地にて刊行されていた雑誌の慰問版や慰問用雑誌の収集および調査を集中的に行っていく。また、収集雑誌の保存についても視野に入れていく必要がある。
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