研究課題
本研究の目的は、英語学習者の自動的なチャンク解析について自動的なプロセスと学習者が意図的に用いるストラテジーの2点の観点から検証することである。今年度は、チャンク解析の具体例として前置詞句の付加 (Prepositional Phrase attachment: PP attachment) の項目に絞り、その複雑さと学習者の理解・知識の関連を詳細に検証するため、以下の2種類の実験を行った。実験1では、意味的手がかりによって曖昧な文を解決し理解できるかを読解後の選好課題と和訳課題で検証した。実験前に予備実験を行い、実験材料が本研究の意図に合っているかどうかの妥当性を確認した。用意した実験材料はPP attachmentを含む構造的曖昧文で、前置詞句が付加される位置と長さ(統語的複雑さ)の2点を組み合わせた4種類であった。26名の日本人大学生を対象に、選好課題と和訳課題を行った。この結果、両課題の4条件とも理解度が高かった。実験2では読解中にL2学習者がどのような文処理を行うのかを検証するため、自己ペース読み課題 (読み手が自分のペースでキーを押しながら英文を単語あるいは語句ごとに読み進める課題) を行い、領域ごとの読解時間を測定した。実験材料は実験1と同様であった。日本人大学生33名を対象に、自己ペース読み課題を行った結果、統語的に複雑な条件で読解に困難を感じることが明らかになった。次年度は英語学習者のストラテジーの観点から、学習者全体の傾向に加えて、個別に自動的・意図的にどのような処理をしているのかについて、思考発話法を用いて質的に検証することを予定している。
2: おおむね順調に進展している
研究計画通り、実験実施等の進捗がある。また、研究成果は口頭発表として発表され、一定の評価を得ている。
次年度の研究では、英語学習者個人のストラテジー使用について検証する。学習者の個別の能力を測定するための英文法熟達度テストや学習者のチャンキング能力を測定するためのチャンク処理単位テストを実施した上で、発話思考法などから読解中にどのような処理を行っているのかあるいはストラテジーを使用しているかを確認する。
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British Association for Applied Linguistics (BAAL) proceedings
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The Japan Associatio of College English Teachers (JACET) Journal
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Annual Review of English Language Education in Japan (ARELE)
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