研究課題/領域番号 |
15J01265
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
森永 真央 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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キーワード | ヒッグス粒子 / 超対称性模型 / タウ粒子 |
研究実績の概要 |
2015年5月より大型ハドロン衝突型加速器LHCは陽子衝突実験(Run2)を再開した。Run2より重心系エネルギーを13 TeVに増強して、主にヒッグス粒子や他の標準模型の精密測定と、標準模型を越える新しい物理現象の探索が精力的に行われている。本研究では、超対称性模型や2HDMから予測される重いヒッグス粒子の探索を行ってきた。特に2015年では重心系エネルギーの増強に伴う生成断面積の増大から、その兆候が期待された。LHCの運転は当初の予定通りとはいかなかったが、陽子衝突実験で約 3.2/fb のデータを取得することが出来た。本研究者はこのデータを用いて、2015年末に開催された、LHC 4実験の成果報告会議に、解析結果を報告することができた。これの結果はATLAS実験と同じ汎用目的実験であるCMS実験の結果や過去のATLAS実験の結果をしのいで、世界最高感度を記録した。 現在は、2016年5月より予定される陽子衝突実験に向けて、トリガーシステムの稼働状況の確認、コントロールルームにおけるシフトや物理解析の最適化や新しい手法の開発を行っている。2016年は瞬間ルミノシティが約2倍となるため、2015年に用いた同じトリガーは使えず、新しいトリガーストラテジーの開発と評価が重要となるが、本研究者は解析グループ内でこれを主導している。現在までに得られた改善で2015年データを再解析した結果、約2倍の感度改善が見込まれる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究のゴールはタウ粒子対に」崩壊する新しい粒子の発見である。2015年がLHCが衝突実験再開と史上最高エネルギーでの運転ということもあり、予定されていたデータ量が得られていない。しかし、本研究者は新しい解析手法の開発を行い、世界最高感度で結果を報告することが出来たことから、本研究の進捗状況は計画以上である。
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今後の研究の推進方策 |
2015年のLHC稼働状況から、2016年の陽子衝突実験では約20/fb のデータが取得できると予測される。これに合わせて、物理解析に用いるトリガーの開発と評価が重要となってくる。現在は、2016年夏に行われる国際会議に向けて評価方法を開発しており、5月より始まる陽子衝突実験の準備を進めている。本研究の最終結果を2016年末に行われる報告会に提出する計画である。
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