研究課題/領域番号 |
15J01472
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
佐藤 紗良 大阪大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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キーワード | LAACでの活動 |
研究実績の概要 |
本研究員は研究の出発点として、文化や思想を映し出す鏡としイスラム庭園を分析することを目的とした。そして、二つの文化交流からの多角的考察を可能にするものとして、キリスト教とイスラム教の混在する南スペイン、アンダルシア地方の庭園を対象とし、本年度はグラナダに焦点を絞った。方法としてはLaboratorio de Arqueologia y Arquitectura de la Ciudad (グラナダ考古学建築研究所/LAAC)に3ヶ月間受け入れてもらい、そこで研究調査を進めた。現地ではイスラム庭園の土地と文化・歴史の影響を明らかにするという目標を立て、アルハンブラ宮殿内の各庭園の分析を試みた。更に個々の庭園を分析する軸として①空間構成や庭園の各要素の分析②美学的視点からの分析③歴史的分析(変化の過程)を設定した。 本年度においては資料調査を研究の要に据えたが、現地の研究員などとの意見交換も含め、実践的な側面から研究を進めることもできた。更に現地での考古学・建築的プロジェクト(Almunias del Occidente islamico: arquitectura, arqueologia y fuentes documentales/ALMOCIS)への参与が認められたため、来年度にも1ヶ月ほどの渡航を予定している。これは現地の古いイスラム建築を研究する実践的プロジェクトであるため、今回中心に行わなかった実地調査が可能である。また本研究員の参加は美学的視点を提供するものにもなり、学際的プロジェクトを可能とするであろう。 学会にかんしては、スペイン・ラテンアメリカ美術史研究会及び意匠学会で発表を行い、充実した意見交換も行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書においては予備調査として10日間ほどの渡航を計画していたが、現地の研究機関とのやり取りにより、3ヶ月間受け入れてもらえることになった。そのため、グラナダでの資料調査などに力を入れることになった。したがって、申請時にはグラナダのアルハンブラ宮殿のみならず、コルドバのメディナ・アサーラ及びアルカサルを対象とした調査を行うとしていたが、メディナ・アサーラは視察のみで、アルカサルは調査できなかった。しかしアルハンブラ宮殿にかんしては十分な資料調査が行えた。また現地では長い休暇期間(1ヶ月間ほどのクリスマス休暇)があり、インタビュー調査などが滞ったが、受入機関での真面目な研究活動が認められ、様々な研究者とのつながりができたため、次回の渡航が期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
LAACでのALMOCISへの参加によって実践的調査を進め、アルハンブラ宮殿の実地調査にも役立てる。これにより、資料調査に偏ったものでなく、さらに信頼のおける研究となると考える。またグラナダに拠点を置きつつ、コルドバでの研究調査も進めたいが、これはALMOCISでの本研究員の参与度合いによるので、現段階においては未定である。さらにアルハンブラ宮殿の実践的研究を行っているバレンシア大学のJulian ESTEBAN-CHAPAPRIA教授との意見交換も実施する予定で、既に氏からの了承を得ている。 7月に韓国で行われる美学国際学会での発表も予定している。
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