研究課題
NEAT1長鎖noncoding RNAが細胞から抽出されにくい性質(難溶性)の原因を探究するために、様々なタンパク質をCRISPR/Cas9システムでノックアウトしたヒト細胞株において、NEAT1の難溶性を定量した。その結果、NEAT1の難溶性に大きく寄与する特定のタンパク質の同定に成功した。加えて、マウス細胞においてもこのタンパク質がNEAT1の難溶性に必要であることを見出した。新しいarchitectural RNAの候補を探すために、以前に難溶性RNAをゲノムワイドに探索して取得したRNAに関して、発現量が多い3種類のRNAの細胞内局在をFISH解析で調べた。その結果、いずれも核内でドット状の局在を示すことが判明した。さらに、そのうち1種類のRNA Xは、ある細胞種を特定の環境においた際に難溶性が著しく上昇することを見出した。以上の結果は難溶性RNAを探索することで、核内顆粒を形成するarchitectural RNAの候補が探索可能であることを意味する。さらに、RNA Xが難溶性を獲得する条件下で、他にも難溶性RNAが存在する可能性を想定し、RNAの次世代シーケンス解析を実施した結果、新しい難溶性RNAの候補を取得した。 architectural RNAの作用機序を理解するためには、核内顆粒に含まれているarchitectural RNAの量的な情報が必須である。この点を明らかにするために、改善RNA抽出法と超解像顕微鏡を活用することで、パラスペックル1個に含まれるNEAT1の分子数を見積もった。以上の研究成果の大部分に関して、現在投稿論文を準備中である。
2: おおむね順調に進展している
NEAT1の難溶性の原因の究明、パラスペックル1個中のNEAT1数の同定、細胞を特定の条件に置いた際に生じる新しい構造構築RNAの候補の取得が順調に進んでいる。
細胞を特定の環境下に置いた際に難溶性を獲得することが次世代シーケンス解析で示唆されたRNAについて、本当に難溶性を有するかをRT-qPCRで確認する。次にこれら難溶性RNA細胞内局在をRNA-FISH法で解析する。さらに、細胞を特定の環境下に置いた際にその環境への適応に着目RNAが関与するかを検証する。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件) 図書 (1件)
BBA Gene Regulatory Mechanisms
巻: 1859 ページ: 139-146
10.1016/j.bbagrm.2015.05.007.