研究課題/領域番号 |
15J01482
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
出川 拓馬 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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キーワード | PTEN / GTPase / Arf / 細胞運動 |
研究実績の概要 |
本年度はPTENの結合タンパク質の候補として得られていたArfAの細胞内動態解析を行った。まずGTP型Arfに特異的に結合することが知られているヒトGGA3タンパク質に由来するGATドメインがArfAにもGTP依存的に結合することを確かめた。このGATドメインに蛍光タンパク質Venusを融合させて細胞内局在を観察すると細胞表面で進行波を形成し、細胞後方に局在するタンパク質であるPTENと共局在することがわかった。さらにはArfA自身の局在もPTENと一致することがわかった。またArfAに結合するヌクレオチドがGTPもしくはGDPに固定された変異体では細胞表面での進行波形成が見られないことから、ArfAの形質膜局在は結合するヌクレオチドがGDPからGTPに変換されることによって起こっていることが明らかになった。ArfAに対するGEFとしての機能を有するSEC7をコードする遺伝子を破壊したsec7 KOではGTP型ArfAの局在が時空間的に振動していないことから、SEC7はArfAに結合するヌクレオチドをGDPからGTPに変換することで、GTP型ArfA進行波を形成していることがわかった。SEC7の細胞内局在もPTENと一致することから、分布が極性化したSEC7のよって駆動されるArfAのヌクレオチド型の変換を通じて、PTENの形質膜局在が制御されていることがわかった。これらの結果はPTENとArfAの何らかの相互作用を示唆するが、提案していた細胞内1分子イメージングを用いた手法ではタンパク質間相互作用は検出できなかった。 もうひとつの研究課題である葉酸レセプターと葉酸との相互作用の検出に関しては、葉酸レセプターの細胞内1分子イメージングに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
PTENとArfAとの相互作用は1分子イメージングによって検出できなかったものの、細胞運動におけるArfAの役割を検証していったところ、PTENを介した運動の制御メカニズムを明らかにできた。しかしながら、これらの結果を得るために多くの時間を要したために、もうひとつの課題であった葉酸レセプターの細胞内1分子スクリーニングには、葉酸レセプターの1分子イメージングに成功したほかは特に進展がなかった。
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今後の研究の推進方策 |
葉酸レセプターの1分子イメージングと葉酸のガラス面固相化には成功しているので、細胞内1分子イメージングを用いた葉酸レセプターと葉酸の相互作用検出法の確立に注力する。
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