本年度は当初の計画通り、前年度までの成果をもとにGOSCのキャパシタ特性向上、構造最適化を中心とした研究を行った。 ①電解質膜:硫酸とGOのハイブリッド体を用いることで、多量の電解質イオンを貯蔵し、高イオン伝導率を有するsGO固体電解質膜の開発に成功した。 ②電極:光還元と電気化学処理を組み合わせることで、擬似容量サイトを有するrGO電極を作製した。 ③セル:sGO膜両面に、光還元および電気化学処理を行うことでrGO(電極)/GO(固体電解質膜)/rGO(電極)構造を有したesGOSCを作製した。esGOSCは、静電容量14.5 mF/cm2(申請時0.4 mF/cm2の36倍、前年度2 mF/cm2の7倍を達成)、エネルギー密度1.24 mWh/cm3、出力密度3.13 W/cm3、抵抗12 Ω、時定数1.5 s、100サイクルで初期容量保持率90%の優れたキャパシタ性能を示した。esGOSCの優れた速度応答性は、硫酸が分子スペーサーとして機能することでrGO層間が広がり、イオン拡散がスムーズになった為であると判断した。またesGOSCは、フレキシブルスーパーキャパシタとして十分な機械的強度を有していた。最終的にesGOSCの静電容量の起源は、(1)GO膜中を高速イオン伝導する多量のH+、SO42-に由来した電気二重層容量、(2)rGOに存在する豊富なCH defectに由来した擬似容量であると結論付けた。 以上のように本研究では、sGO膜両面に光還元および電気化学処理を行うことで、優れたキャパシタ性能を有するesGOSCの作製に成功した。これらGO電解質およびrGO電極の改善によって、他のオールカーボンスーパーキャパシタを遥かに凌駕したキャパシタ性能が得られ、世界に先駆ける研究成果を挙げた。本年度の研究成果は、学術論文(筆頭著書1報)としてまとめられ現在審査中である。
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