本研究では単電子ナノドットアレイデバイスと抵抗変化型メモリによる新たな高機能デバイスシステムを目指した。平成28年度は主に抵抗変化型メモリと単電子ナノドットアレイデバイスの組み合わせシステムの設計に注力し、関連する研究を行った。平成28年度では、以下2項目において、成果をあげた。①単電子ナノドットアレイに関する研究では、共同研究者と別の手法によるトリプルドットの作成法と評価法の開拓を進め、本分野の権威ある学会誌である、Journal of Applied Physics誌に投稿し、掲載された。また、抵抗変化メモリのアナログ動作の手法を開拓した。セレクタとして用いたトランジスタのゲート電圧を変え、抵抗変化型メモリの抵抗をアナログ的に変化させることに成功した。そしてナノドットアレイと接続できる回路を提案し、それを詳しく分析することで、高機能フレキシブルデバイスとしての動作の可能性を示した。国際会議で筆頭3件の発表を行った。②この抵抗変化メモリのアナログ記憶機能をニューラルネットによる極低消費電力な脳型コンピューティングに応用するため、新たなトランジスタの構造を提案した。そのトランジスタの構造は非対称的な構造を有するためニューラルネットワークの弱点であったリーク電流を減らすことができる。ニューラルネットワークアレイのセレクタとして重要な非対称MOSトランジスタの試作を、産業技術総合研究所と共同で、つくばセンターのクリーンルームに赴き完了し、その動作を確認した。
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