研究課題
本研究では、牛白血病ウイルス(BLV)に対する新規制御法を開発するため、免疫抑制受容体Programmed death-1 (PD-1) およびそのリガンドであるPD-ligand 1 (PD-L1) を標的とする治療用抗体を作製し、BLV感染牛における抗ウイルス効果を評価することを目的としている。今年度は、前年度に引き続き、生体内での抗ウイルス効果を評価するため、さらに試験頭数を増やした抗体投与試験を行った。前年度までの報告の通り、本研究で樹立された抗体の安定発現細胞は、培養液1Lあたり738.1 mgの抗体を産生することが可能であるため、この細胞を3L培養することで約1.6 gの抗体精製に成功した。投与試験には病態初期の無症候期 (AL) 、および病態後期のリンパ球増多症 (PL) を呈す感染牛4頭 (AL2頭、PL2頭) を使用し、それぞれをコントロール群1頭、抗体接種群1頭に分けて使用した。抗体投与群にはキメラ抗体を1 mg/kgの用量で静脈内投与し、コントロール群には等量の生理食塩水を投与して2ヶ月間経過を観察した。その結果、AL牛では抗体を接種した牛で有意なプロウイルス量の減少が見られたのに対し、コントロール群では明らかな減少は認められなかった。さらに、コントロール群の個体のプロウイルス量は一部増加傾向にあり、抗PD-L1キメラ抗体の効果を裏付ける結果と考えている。しかしながら、PL牛では抗体接種群においても抗ウイルス効果が認められず、病態後期のウシでも安定して効果を発揮できる投与条件を検討することが必要だと考えられた。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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