本研究者が今年度にできた研究は主にHilbertモジュラー形式の場合のKohnenプラス空間に入るnewformに関するものである。本研究では表現論を利用して、Kohnenが1982年に発表した半整数ウェイトのnewformに関する結果をHilbert保形形式の場合、つまり、基礎体が総実体の場合に一般化した。Kohnenが最初に利用したプラス空間の定義はそれに入るモジュラー形式のFourier係数に条件を付けたものであったが、本研究者が一般的な総実体の場合の自明でないレベルと二次指標に関するKohnenプラス空間を適切に定義されたヘッケ作用素Eで固定される空間として定義して、その中に入るモジュラー形式のFourier係数がレベルが自明な場合と類似した条件を満たさなければならないことを示した。そのヘッケ作用素Eは平賀と池田がで定義したものの一般化である。本研究者が定義したKohnenプラス空間に入るnewformはSteinberg表現という表現で定義されたものである。それに、本研究者がいろんなヘッケ作用素のnewformでの固有値を明確に計算して、それらの結果を用いてあるヘッケ形式がnewformになる一つの必要十分条件を与えた。この必要十分条件はBaruchとPurkaitの2015年の結果に触発されたものである。以上の結果を得るために、本研究者がSL_2のダブルカバーを定義域としたヘッケ環についていろんな計算を行って、いくつかの特殊の場合の構造も判明した。そのほか、Waldspurgerの志村対応の理論を利用して、本研究者が定義したnewformにより張られた空間がある偶数ウェイトを持つ表現論に関する条件を満たすHilbertモジュラー形式に張られた空間とヘッケ同型になることも示された。
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