研究課題/領域番号 |
15J01925
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
佐橋 玄記 北海道大学, 環境科学院, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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キーワード | 漁業進化 / 保護区 / サケ科魚類 |
研究実績の概要 |
遊漁河川と禁漁河川における釣獲圧の比較と遊漁のサイズ選択性を検証するために、遊漁解禁前の4月に調査区の設定を行った。5月に魚の採捕を行い、採捕された魚について体サイズの測定、ヒレきり標識による個体別標識を行い、調査区内に放流した。9月上旬に同一調査区内で魚の採捕を行った。現在、体長、年齢、雌雄、成熟の有無を調べる魚体計測を進めており、生息密度の減少率、標識魚の再捕率、採捕された魚の個体標識、体サイズ分布の変化が定量化される予定である。
遊漁河川と禁漁河川間の閾値サイズを比較するために、5月に採捕河川の選定を行った。潜水目視によってヤマメの生息を確認し、調査区内に水温記録用のデータロガーを設置した。7月に調査区内の環境要因として、川幅、水深、流速、底質、河川勾配の計測を行った。また、GPSと地形図を用いて、標高と海からの距離を記録した。9月に電撃捕魚機を用いて、調査区内の魚の採捕を行った。上記課題と平行して、こちらの課題についても現在魚体計測を行っている。当初の予定では、年度内に統計モデルを用いた解析を行う予定であったが、魚体計測の遅れから実データに基づく結果は出ていない。しかし、すでにモデルの構築は完了しており、魚体計測のデータが得られ次第、解析結果が得られると考えられる。
研究課題に関連する内容について投稿論文を7本執筆した。年度内に6本が受理され、現在1本が掲載審査中である。研究課題に関連する内容について国内学会1件、国際学会1件で口頭発表を行った。そのうち国内学会では、若手研究奨励賞を受賞した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年目の課題の中で唯一、魚体計測が当初の研究計画に比べ、若干遅れている。ただし、計画からの遅れの範囲は、わずかであり、2年度目で十分挽回可能な範囲である。一方、研究1年目の核となる野外調査は、天候不良等の影響があったものの、当初の計画通り終えることができた。また、研究課題に関連する内容について投稿論文を7本執筆し、年度内に6本が受理された。以上を総合的に判断すると、魚体計測の若干の遅れは生じているものの、研究1年目の成果としては計画以上の成果が得られており、おおむね順調に進展しているものと評価する。
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今後の研究の推進方策 |
1年目の課題で唯一遅れが出た魚体計測は5月中旬までに終了予定である。
遊漁で釣られる魚の生活史分岐傾向を定量化するために、5月に採捕河川の選定を行う。6月に釣りと電撃捕魚機によって、調査区内の魚を採捕し、標識を行った後、調査区に再放流する。9月に調査区内の標識魚を再捕獲する。10月から11月に採捕された個体の魚体計測を行い、体長、年齢、雌雄、成熟の有無を調べ、標識の色の確認を行う。釣られた魚と捕魚機によって捕獲された魚の集団間で生活史二型の分岐傾向の違いを比較する。
研究全体で得られた結果をまとめ、原著論文を国際誌へ投稿する。
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