研究課題/領域番号 |
15J01975
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
小島 倫世 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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キーワード | 学力測定結果 / 学校改善 / アメリカ教育改革 / Value-Added Assessment / 形成的評価 |
研究実績の概要 |
平成27年度の研究実施の概要は,下記の通りである。 ■渡米調査1回■平成27年度5月10日~14日,米国テネシー州にて本研究の実地調査を行った。東テネシー州立大学J.E.Stone教授,Akiko Yoshizawa講師に面会し,同州における学力評価政策の展開について聞き取り調査を行うと同時に,資料提供を受けた。また,キングスポート市・教育次長Dory Creech氏から同市の教員人事政策について聞き取り調査を行い,同大学の教授・学習学科長のPamela Evanshen教授からも理論的な助言を得た。学校訪問については,ジョンソン市立Liberty Bell中学校,East Side小学校,East Lake小学校の3校を訪問し,授業見学を行うと同時に教職員から学力向上施策について聞き取り調査を行い,教員評価シート等の内部資料の提供を受けた。さらに,Public Education財団のDan Challener理事長と面談し,同市で展開されたBenwood教育改革の経緯と特質について聞き取り調査を行うと同時に,関連資料の提供を受けた。同氏,Stephanie Hinton校長,Joyce Lancaster校長,Faye Pharr指導主事,Neelie Parker校長ら5名との協議の場を設けていただき,学力向上政策と校内組織構築の関連について聞き取り調査を行った。 ■学会参加15回■採用第1年目は,積極的に関連学会に入会・参加をし,資料収集や研究者との交流を通して,本研究を深めるよう心掛けた。なお,参加した学会は,日本教育学会,日本教育行政学会,日本教育制度学会,教育目標・評価学会,アメリカ教育史研究会,関西教育行政学会である。 ■学会発表4報■上記の成果および日々の研究成果を学会で報告し,合計4回報告する機会を得た。 ■論文投稿1報■上記渡米調査の成果を研究論文にまとめ,3月に全国学会に投稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
米国への訪問調査では、研究員が培った人脈を生かして研究対象地であるテネシー州における学校改革のキーパーソンの所在をつきとめ、インタビューに成功した。また、わが国では入手困難な教員評価シート等の貴重資料も入手した。 これらのデータをこれまでに入手済の資料、および近年の米国における理論展開動向と併せて検討することによって、第一に、学力結果の責任を児童・生徒のみに帰着させず、教員の責任範囲を明示化する動態が生じていること、第二に、そこから照らし返したとき、米国教育史においても学力伸張度こそを唯一の教員の卓越性・優秀性の尺度とした事実が浮かび上がることを確認した。これら成果について、活動母体とする学会にて報告したところ、大きな注目を集め、発表後に米国教育制度研究を手がける数名の中堅研究者から賛辞が寄せられる等、高い評価を得た。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度の研究の推進方策は,大きく次の3点を行う予定である。 第一に,渡米調査の実施である。もう一つの研究対象地であるワシントンD.C.への訪問調査を実施し,平成27年度に調査済みのテネシー州の状況との比較検討を行う。第二に,本研究の中軸に位置づくValue-Addedモデルについて,現在米国で展開している論争を整理・分析する。その際,4つの共同討議に着目し,それぞれの時期における論点やその展開経緯を考察する。第三に,本研究とも関連するCommon Core State Standardについても検討を進める。 以上の成果は複数の学会で発表し,投稿論文にまとめる予定である。
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