研究課題/領域番号 |
15J02009
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
十和田 諒 東北大学, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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キーワード | 生理活性 / 有機化学 / 酸化型不飽和脂肪酸 / 不斉酸化 |
研究実績の概要 |
Nigricanoside Aジメチルエステル体の分子北西部位の調製を行っている。エーテル環化前駆体に対し、まずは酸を触媒として水酸基からの環化反応を試みたが、解析困難な混合物を与えた。次に塩基またはルイス酸による検討を試みたが望む反応は進行せず、原料の分解を起こすのみとなった。以上の結果よりエポキシドへの分子内6-exo-環化反応は困難だと考え、別法として金属を用いた二重結合への環化反応を試みたが反応は進行しなかった。以上第二級水酸基からの分子内エーテル環化反応は困難だと判明したため、合成経路の抜本的見直しを行った。 また、Nigricanoside類のエーテル結合を構築する別法として、2つの脂肪酸鎖の直接的な連結を視野に入れている。その際、水酸基を有する不斉炭素をいかにして構築するかが鍵となる。新たに不斉補助基としてDaviesの不斉補助基に着目し、モデル研究としてオキシリピン型天然物の合成に取り組み、アルキル化条件の最適化を試みた。しかし、文献の方法に則りDaviesの不斉補助基を合成してアルキル化を行ったところ、収率が非常に低い結果を与えた。溶媒や添加剤の検討を行ったが収率の改善には至らなかったため、Daviesの不斉補助基の実用性は低いと判断した。そのため新たな水酸基導入法としてDavis酸化を用いた合成経路を立案した。この合成経路に基づきsacrolide Aの合成を進め、効率的に不斉第二級水酸基を構築して右側フラグメントを合成し、別途調製した左側フラグメントとのオレフィン化に付すことで全炭素骨格を構築した。現在脱保護とラクトン化を試みており、このモデル研究で得られた知見は、nigricanoside類の合成研究を加速させるうえで重要であると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Nigricanoside Aジメチルエステル体の分子北西部位の調製に検討を要している。当初予定していたエポキシドへの分子内6-exo-環化反応が困難であることが判明し、新たな合成経路を練る必要があった。
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今後の研究の推進方策 |
nigricanoside Aの分子北西部位の調製を急ぐ。モデル研究で得られた知見を基にして効率的な不斉炭素構築法およびエーテル結合の構築条件を追究する。
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