研究課題/領域番号 |
15J02034
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
翁長 朝功 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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キーワード | Complex networks / Spreading process |
研究実績の概要 |
神経ネットワーク、および社会ネットワークでは、ネットワークの構造が時間とともに変化する。このようなネットワーク上で生じる神経スパイク信号や感染症などの伝播現象はネットワーク構造の時間変化の影響を受ける。ネットワーク構造の時間変化が伝播現象にどのように影響を与えるかを明らかにするために、今年度は、時間変化するネットワーク上の感染症の確率モデルを例にとり、理論的な解析を行った。その結果、同時に接触している素子の数であるコンカレンシーが劇的に影響を与えることを解明し、その影響の強さを定量的に明らかにした。この成果は、幅広い伝播現象に示唆を与えるだけでなく、新種の感染症の予測、介入戦略、ワクチン接種の戦略、マーケティングのタイミングを特定するといったことへ幅広い応用がある。今年度はネットワーク上の伝播過程の専門家である、James Gleeson氏の研究室に滞在し、共同で研究を行う機会に恵まれた。ネットワーク上の伝播過程の観測データに沿った理論を構築するための議論を深めることができた。本研究の成果は、前年度に実施していた神経回路構造と神経回路の活動の関係についての理論研究がScientific Reportsより出版され、今年度の研究成果は物理学の国際誌にて掲載審査中である。また、本プロジェクトの研究成果は、神経科学及びネットワーク科学の国際会議(MONA2, Neural Coding 2016)、および国内学会(日本数理生物学会)において発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度予定していた確率モデルの研究は完了し、国際会議及び国際誌にて発表した。本年行った理論研究もアイルランドのグループの支援を受け進めることができ、現在論文を投稿中である。そのため、概ね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
テーマの追加もあり,当初の計画は順調に進んでいる。今年度は、アイルランドのグループと共同研究を行い、社会ネットワーク上の伝播現象の実験データを解析する。社会ネットワークのデータを用いるメリットは、神経ネットワークに限らない様々な複雑ネットワークに応用できる統計解析の手法を構築できることである。今年度の研究では、これらの応用を見据え研究を発展させていく。
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