研究課題/領域番号 |
15J02121
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
小澤 佑介 筑波大学, システム情報工学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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キーワード | GPU / クラスタ分析 / グラフクラスタリング |
研究実績の概要 |
GPUクラスタを用いた並列分散データ処理の実現に向けて,GPUを用いたデータのクラスタ分析に関する研究を行なった.データのクラスタ分析を行ない,その結果を基にGPUクラスタの計算ノード上にデータを配置することで,分散処理中のノード間の通信を削減でき,効率的な処理が可能になると考えられる.具体的な研究成果は以下の通りである. 【canopy クラスタリング】 クラスタ分析の前処理として用いられるcanopyクラスタリングを,GPUを用いて高速化した.具体的には,以下の二つの手法を提案した:(1) canopy クラスタリングの GPU 上での並列処理,(2) グリッドインデックスを用いた canopy クラスタリングの高速化.一つ目の手法では,canopyクラスタリングの処理を三つに分割し,GPU 上で並列実行可能なデータ並列プリミティブを活用することで効率的な処理を実現している.二つ目の手法では,グリッドインデックスと呼ばれる空間インデックス構造を用いることで,より効率的な canopy クラスタリング処理を実現している.実験による評価により,提案手法の有効性を評価した. 【グラフクラスタリング】 グラフデータを対象としたクラスタ分析処理のGPUによる高速化を行なった.具体的には,速度・精度の両方の面において良い性能であり, かつ並列化に適しているアルゴリズムであるラベル伝搬法をGPU上で並列処理することで,高速化を図った.提案手法では,GPU上での負荷分散を達成可能な演算を活用することで,実世界に多く見られる偏りが存在するデータに対する効率的な処理を実現している.実験により,提案手法の有効性を評価した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
GPUクラスタを用いた効率的な並列分散処理を行なうためには高速かつ効果的なデータ配置が重要である. そのために,GPUを用いた高速なクラスタ分析に関する研究を行なった. これらの研究成果はDEXA 2015などの国際会議等に論文が採録されており,国際的に評価されている成果を出している. そのため,「研究の目的」の達成に向けておおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後はGPUを用いたグラフクラスタリングの高速化に関して,高度化を行なう. 具体的には,現在はGPU上に乗り切るデータのみを対象としている点を改良し,GPU上に乗り切らないデータも処理可能にする. さらに,現在は単一GPUのみを使用しているが,複数GPUやGPUクラスタを用いる手法に関しても検討を行なう.
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