研究課題/領域番号 |
15J02151
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
北條 健太郎 北海道大学, 大学院総合化学院, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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キーワード | 不斉合成 / 銅触媒 / イソシアニド / アリルカップリング / 第四級不斉炭素中心 |
研究実績の概要 |
イソシアニドは一酸化炭素と同じ電子構造を有し、多様な反応性を示すため有機合成反応に広く用いられてきた。例えば、イソシアニドは金属―元素結合に挿入し、多様な反応性を示すイミドイル金属種を生成する。これを利用した触媒反応が盛んに研究されてきた。 一方で、金属ーヒドリド結合への1,1-挿入反応過程を含む触媒反応はほとんど知られていない。得られるホルムイミドイル遷移金属種はホルミルアニオンの等価体と見なせる。このものは通常求電子的なsp2炭素原子が極性転換された反応剤である。イソシアニドをC1求核剤として利用し、続く官能基化を可能とする点で本手法は魅力的である。 しかしホルムイミドイル金属種の発見から50年以上経過した現在においてもその利用は数例に留まっている。特に不斉合成への展開はなされていない。その理由として①金属ヒドリドがイソシアニドよりも先に求電子剤と反応してしまうこと②イソシアニドの多重挿入反応が進行することなどが挙げられる。 今回申請者は、ホルムイミドイル銅種を触媒的不斉合成に適用した。独自に開発したナフトール-カルベン複合型キラル配位子の Cu(I) 錯体を用いたイソシアニド、ヒドロシラン、γ,γ-二置換リン酸アリル求電子剤の不斉3成分カップリングを見出した。本反応により既存法では入手困難なキラルα-第4級ホルムイミドおよびアルデヒドが効率的に不斉合成できた。生成物のホルムイミドおよびアルデヒドは様々な官能基化に利用できることから、複雑な骨格を有するキラル分子の部分骨格としての利用が期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度、ナフトール-カルベン複合型キラル配位子の Cu(I) 錯体を用いたイソシアニド、ヒドロシラン、γ,γ-二置換リン酸アリル求電子剤の不斉3成分カップリングを見出した。反応は高収率かつ高エナンチオ選択的に進行し、既存法では入手困難なキラルα-第4級ホルムイミドおよびアルデヒドが効率的に不斉合成できた。
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今後の研究の推進方策 |
イミドイル金属種を利用した触媒的不斉合成反応の開発を目指す。炭素ー金属結合へのイソシアニド1,1-挿入反応を利用する。
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