研究課題
1.主観的な時間の長さ(時間長)の変容に関わる神経基盤の解明特定の時間長をもつ刺激への順応(時間長順応)による主観的時間経験の変容に関わる神経基盤を明らかにするため、昨年度に最適化を行った実験パラダイムを用いてfMRI実験を実施、データを取得した。現在はデータ解析を進めている。2.時間長選択性を示す脳領域の活動と主観的時間経験の因果関係の解明時間長に対して選択的な応答特性を示す脳領域の活動と主観的時間経験の因果関係を明らかにすることを目的として、経頭蓋磁気刺激(TMS)法による実験を行った。本年度はまず行動実験により実験パラダイムの最適化を行い、その後、TMSを用いた実験のデータ収集を進めた。3.時間長弁別学習効果の検討これまでの研究では、時間長の弁別訓練を行うと、訓練で用いた時間長に選択的な学習効果(弁別感度の向上)が現れることが示されている。本研究ではこの効果を再検証し、時間長選択性をもつ脳領域との関連を明らかにすることを目的としている。しかしながら、先行研究では、傾きや運動方向といった単純な視覚的特徴の場合、弁別課題遂行による積極的な訓練を行わずとも、その特徴をもつ刺激を被験者に事前に反復呈示し、順応させるだけでその特徴パラメータに対する弁別感度が向上することが報告されていることから、同様の効果が時間長への順応についても起こるのかをまず検証した。その結果、特定の時間長への順応が、その後に呈示される刺激の時間長弁別の感度を高めることが示された。本研究成果は平成28年度に開催された北米神経科学大会において発表した。
2: おおむね順調に進展している
当初予定していた研究計画1の機能的MRI実験、研究計画2の経頭蓋磁気刺激法による実験、そして研究計画3に関連した心理物理実験のデータの収集が概ね完了しているところであり、おおむね順調に進展している。
研究実績の概要1に示した機能的MRIによる実験結果に関しては、データ解析が完了次第、平成29年度中に学会発表および論文発表を行う予定である。2に示した経頭蓋磁気刺激法による実験では、当初の予定に一実験を追加して二段階の実験デザインを策定したことにより、当初の計画よりも時間をかけてデータを収集しているが、これにより当初計画していた実験よりもさらに示唆に富んだ結果が得られると予想される。実験データの収集が終了次第、解析を行い、平成29年度中の学会発表および論文発表を行う予定である。3に示した実験に関しては、心理物理実験の結果を昨年の学会で発表済みであり、平成29年度中に論文として出版する予定である。
すべて 2017 2016 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち謝辞記載あり 2件、 査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件)
Neuroscience Research
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1016/j.neures.2017.02.001
Brain Nerve
巻: 68 ページ: 1385-1391
10.11477/mf.1416200602