研究課題/領域番号 |
15J02222
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研究機関 | 国文学研究資料館 |
研究代表者 |
野村 亞住 国文学研究資料館, 研究部, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2019-03-31
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キーワード | 季吟 / 俳諧 / 季語 / 連句 |
研究実績の概要 |
本年度(平成27年度)は、7月より11月(産休による中断期間7~9月および再開準備期間10~11月)までの5ヶ月間、第二子出産のために産前産後の休暇又は育児休業を取得した。それに伴い研究期間が短縮したために、当初の計画より研究計画を変更した。 変更した計画にもとづき、本年度はすでに手元にある資料より翻刻作業を進めると同時に、大学院生に依頼した翻刻データのチェックを行った。それにより『紅梅千句』『雪千句』など五書分(およそ5000句)のデータの蓄積ができた。データベースの作成には、さらに、当時の季寄せ・歳時記・作法書類を参考に、句中の季語と季節を定める必要がある。この作業に関しては、五書中三書が完了した。育児との両立で思いのほか、研究時間が取れない状況となったために、データベース化作業の進捗状況に若干の遅れはあるものの、おおむね変更した計画に沿って研究が進行できたものと考える。この作業は、次年度以降、引き続き翻刻作業とデータベース化を進めていくものとする。なお、28年度より長女の幼稚園入園により、在宅での研究時間が取りやすくなることが予想されるため、作業のペースアップが見込まれる。 本年度に蓄積したデータのうち『雪千句』は、点取であり、傍注として点評がのる。これにより、どのような箇所に注目し、何をよしとしたのか、という句の評価の基準の一端が明らかになった。なかには、季に関わる記述も見られ、今後のデータ分析において大いに参考になるものとなった。 以上が本年度の研究内容である。本研究はいかに多くのデータを蓄積できるかが研究成果を左右する。データベースの完成までは、資料収集と翻刻作業が主となる。その意味でも、本年度は、産休・育休取得の際に変更した研究計画に沿って作業を遂行し、今後につながる有意義なデータを得ることができた。これは、次年度以降の研究の展開に視するものであると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、作成したデータベース分析によって完成するものである。研究対象である季吟門連句は、未翻刻の資料が大多数であるため、データを蓄積させるための翻刻作業およびデータベース化が極めて重要な作業であり、初年次・二年次は翻刻作業およびデータベース作成作業が中心である。 出産に伴う育児休暇のために当初の計画より変更を行い、それに即して研究を遂行した。慎重にならざるを得ないデータベース作成に関しては多少の遅れはあるが、本年度、新たに5000句におよぶデータが蓄積できたことは、データベースの完成に進展したと考える。また、そのなかで、今後の研究に極めて重要な記述を得ることもできた。 以上が本研究がおおむね順調に進展していると考える理由である。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、翻刻作業およびデータベース作成作業に尽力する。 翻刻量が膨大なので、一部作業を大学院生に依頼する。その翻字チェック作業を行った後に、季節・季語・興業時期・場所等分析抽出項目を精査し、入力する。分析事項の選定・入力は、当時の季寄せ・歳時記類や、辞書・俳書・歌学書等の出版物の記述を参考にして慎重を期す。 データベース完了の後に、抽出項目を用いて分析を開始し、季吟門連句の傾向と特徴を明らかにする。その後、芭蕉連句データベースとの比較を行う。
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