研究実績の概要 |
研究2年目であるH28年度は、前年度に引き続き、データ収集および、データベースの作成の作業を行った。本年度はデータベースの精度を重視したため作業ペースがあがらなかったものの、作成中のデータベースの累計データ数が10,000句を超えた。すでに作成済みの芭蕉連句データベースの主となるデータ(貞享元年『冬の日』以降の連句)がおよそ8,000句であることを考えると、比較分析に有効なデータ数に入ったといえる。具体的な作業内容は以下の通りである。 新たに購入した書籍(『天理図書館綿屋文庫俳書集成』)を参考に、データベースの元となる翻刻作業と、その翻字確認の作業、さらにデータ分析に必要な抽出項目の入力を行った。とくに、抽出項目の入力にあたっては、当時の辞書や式目作法書類の記述、季寄せ・歳時記類の説明を慎重に精査して行った。また、これまでに積み重ねてきたデータベースから季吟門の言葉の選定の傾向を意識し、かつ同時期の連句の傾向などを参考にしながら、データベースの作成に取り組んだ。 その結果、作成中のデータベースに新たに4書、およそ5000句および注記等を追加した。データベースの作成にあたっては、句・作者・興行時期や興行場所、連衆に加え、句の読解に関わる注記や付筋、季語の認定、季に関わる注記、式目に関わる注記等を追加し、データベースの精度を高めることに努めた。 とくに、本年度の追加データには、句に関わる注記が多く、一句一句の読解のみならず季の認定に大いに参考になるものであった。前年度に、産前産後の研究の中断を行ったため、次年度の前半にかけて引き続きデータベース作成に尽力するが、その際、こうしたデータが大変有用なものになると考える。
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