研究課題
申請者は昨年度に、AL1やAL2を用いてミトコンドリア複合体-Iのユビキノン結合ポケットの最深部を構成する49 kDaサブユニットのAsp160(49 kDa-Asp160)を特異的に化学修飾する方法論を確立した。この49 kDa-Asp160に関して、QM/MM分子動力学シミュレーションを用いた海外の研究グループにより、複合体-Iの構造変化にきわめて重要なアミノ酸残基であることが示唆されていた。そこで、複合体-Iの反応における49 kDa-Asp160の役割について精査することにした。具体的にはタグとしてメチル基を有するALMを合成し、49 kDa-Asp160を特異的にメチル化(メチルエステル化)することで、49 kDa-Asp160の役割について調べた。その結果、、49 kDa-Asp160のメチル化は、キノン結合ポケットの構造にほとんど影響を及ぼさないことが明らかになった。以上の成果をアメリカ化学会Biochemistry誌で報告した。また、昨年度、AL2を用いた1次タグである末端アジドの導入と、2次タグであるTAMRA-DIBOの導入を行う際に、TAMRA-DIBOが末端アジドが導入されていないアミノ酸残基と非特異的に反応するといったことが課題となっていた。この問題を解決するため、近年注目を集めているinverse electron-demand Diels-Alder反応(IED-DA)を用いて化学修飾を行うことを目指した。そこで新たにIED-DAを行うために1次タグとしてシクロプロペンを持つAL3を合成し、蛍光基BODIPYをもつテトラジンを2次タグとして用いて化学修飾を行った。その結果、非特異的な2次タグの反応を極力減らすことに成功した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry
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