平成27年度は以下の項目について研究を行った。 1.非定常数値解析による時間的変動を伴う換気量の定量的評価手法の開発。 十分な通風量が期待できない、同一壁面上に2つの開口を有する単純住宅モデルを対象に、単体及び市街地を想定し2棟隣接して配置した場合の通風性状をLES解析により検討した。更に、開口部に風力換気促進装置(ガイドベーン)を設置した場合の解析を行った。開口から気流に追従する大きさ・質量の無い粒子を放出し、粒子追跡を行うことで、室内に流入した気流がショートサーキットして流出する場合を考慮した換気量(有効換気量)の評価手法を開発した。この手法は時間的に変化する気流場にも適用することが可能である。有効換気量は単体と比較して二棟隣接させた方が多くなり、ガイドベーンの取り付け位置によっても大きく変化する。 2.家庭用エアコンを対象とした2015年度モデルのカタログスタディとCOPマトリックスデータベースの構築。 2015年度モデル対象としてカタログスタディを行い、既往の研究で調査を行った2013年度モデルの調査結果と比較し、各社製エアコンの性能の年推移を分析した。2015年度モデルでは暖冷房ともに定格能力が約2倍になると平均定格COPは約0.7~0.8倍となる。又、2013年度と比較して2015年度ではどの機種でもAPFが約0.5増加していることが明らかとなった。更に、外気温、暖冷房負荷を任意に調整可能な簡易カロリーメータを使用し、P社及びME社製家庭用エアコンを対象としてエアコンの出力、外気温、COPの関係(COPマトリックス)を測定し、COPマトリックスデータの蓄積を行った。COPマトリックスでは、暖冷房時共に出力が低くなるにつれてCOPが高くなる傾向があり、又、暖房時は外気温が高い方が、冷房時は外気温が低い方が、COPが高くなる傾向がある。
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