研究実績の概要 |
極域-昼間側磁気赤道域の電磁結合メカニズムの解明は超高層大気物理の普遍的な課題として極めて重要である。本研究では、夜側磁気圏尾部を源とするPi2地磁気脈動の昼間側赤道域伝播の仕組みの解明を行った。 地方時、日の出/日時刻に対するPi2の空間的特性を明らかにし、Pi2地磁気脈動に対する朝夕昼夜境界の効果を体系的にまとめた。その結果、Pi2の性質は地方時よりもむしろ昼夜境界からの相対的位置に優位に依存していることがわかり、電離圏伝導度の重要性が確立された。朝夕の昼夜境界効果には非対称性があり、このことは電流構造の非対称性を示唆する。この結果はImajo et al. [2016, EPS]で公表済みである。 電流系による解釈の妥当性を確認するために、真夜中付近に局在した沿磁力線電流、_磁気圏赤道面で閉じる電流、沿磁力線電流に励起される電離圏電流で構成されるモデル電流系の作る地上磁場をビオサバールの法則を用い計算した。計算された昼間側等価電流分布は観測された等価電流分布とよく似たパターンを示した。それぞれの電流要素の寄与を分けることにより、昼夜境界での東西成分磁場の符号反転は沿磁力線電流の磁場効果と南北電離圏電流の磁場効果の切り替わりにより起こりえることが裏付けられた。これにより、初めて昼間側Pi2を説明しうる定量的なモデルが確立された。この結果は昼間側電離圏電流系の構造の観測と絡めて国際誌JGRに投稿済みである。 さらに発展的研究を行うため5ヶ月間UCLA/AOSに滞在し、衛星電磁場、オーロラの解析手法を学んだ。ここではPi2に伴う電流振動的な現象と、空洞共鳴的な現象の関連性を調べる事例解析を行った。オーロラの変動、磁場変動の極性分布、内部磁気圏の電磁場の構造から、電流系振動、波動の伝播的・共鳴的特性が同時に存在しうることを示した。この結果は国際誌JGRに投稿済みである。
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