研究課題/領域番号 |
15J02416
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
小野 耕平 神戸大学, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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キーワード | パイプライン / 液状化 / 耐震 / スラスト力 |
研究実績の概要 |
当研究課題は,極めて複雑な液状化時の圧力管路屈曲部の力学挙動解明を目的とする.液状化による地盤支持力の低下が管体の変位挙動に与える影響を明らかにすることで,耐震性を考慮した圧力管路屈曲部の設計手法を確立し,管路機能の長寿命化に寄与する. 今年度は,曲管より単純な条件である直線模型管(管径50mm,長さ200mm)を用いて水平載荷実験を実施した.実験土槽(幅600mm,高さ400mm,奥行き200mm)底面から地盤内に上向き浸透流を与え,過剰間隙水圧を上昇させることで地盤の液状化状態を再現した.異なる動水勾配下の地盤内で模型管を水平方向に一定速度で牽引し,管に作用する地盤抵抗力を計測した.実験結果から,管の水平変位に対する地盤の抵抗力は,過剰間隙水圧比が増加するに連れて減少することが確認された.また,飽和地盤においても,管の移動に伴って背面地盤の過剰間隙水圧が瞬間的に上昇し,せん断抵抗力が低下することも明らかとなった. 砂地盤における実験結果を踏まえ,水圧の消散効果が高い砕石による埋戻しに着目し,その効果を模型実験で検証した.管周辺を砕石で埋め戻し,その効果的な敷設範囲を探った.実験結果から,砕石基礎のせん断強度が付与されたことによる地盤抵抗力の増加が確認された.また,砕石層の間隙水圧消散効果により,過剰間隙水圧の上昇が抑制され,液状化による地盤抵抗力の低下が抑えられた. 模型実験に加えて,DEM(個別要素法)を用いた数値解析を実施した.各粒子パラメータは,乾燥地盤で実施した実験結果にフィッティングするように,試行錯誤的に決定し,粒子密度と重力加速度を調整することで上向き浸透流の影響を考慮した.実験結果との比較から,本手法によって,液状化程度に応じたせん断抵抗力の変化をある程度再現できることがわかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年に提出した研究計画に則り,計画通りに研究を遂行することができた.年度前半は,模型実験に傾注し,データの蓄積に努めた.実験を進める過程で新たな課題を発見し,当初予定していた以上の時間を要したものの,十分な結果を得ることができた.年度後半は,DEMを用いた数値解析を実施し,実験結果との比較から,研究結果の考察を進めた. また,次年度に計画している模型実験に向けて実験装置の設計を行い,次期,スムーズに実験に着手できる状態となった.
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今後の研究の推進方策 |
曲管を対象とした埋設水平載荷実験を実施するため,実験土槽(幅1300mm,高さ500mm,奥行き400mm)を新たに作製する.地盤の液状化状態は,前年度と同様に,土槽底面から上向き浸透流を与えることで再現する.模型管として,外径100mm,長さ400mmのアルミニウム製曲管を作製する.屈曲角度の異なる数種類の曲管模型を電動アクチュエータによって水平方向に牽引し,屈曲角度と地盤抵抗力の関係性および曲管に作用する土圧分布を解明する.また,実験結果から,土被りや地盤密度,液状化状態,管面粗度等を考慮した地盤抵抗力算定式の構築を試みる. さらに,土槽前面のアクリル壁から管と周辺地盤の動きを撮影した動画・画像を用いて,PIV(粒子画像流速測定法)解析を実施する.管の水平変位時における近傍地盤との相互作用を詳細に分析し,抵抗力発現のメカニズムを解明する.また,前年度に引き続きDEM解析を実施し,実験結果の妥当性の検証,および模型実験の補填を行う予定である.
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