研究課題/領域番号 |
15J02429
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
武田 洋平 北海道大学, 医学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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キーワード | 自然免疫 / アジュバント / 樹状細胞 / 抗原提示 / 抗腫瘍免疫 |
研究実績の概要 |
本研究では、TLR3アジュバントであるpoly(I:C)の樹状細胞(CD)を介したCD8+T cell活性化の新規分子制御機構の解明を目的とし解析を行った。今回、DCの中でも高いクロスプレゼンテーション能を有することが知られているCD8a+DCの機能に特に着目した。CD8a+DCはTLR3発現が非常に高く、poly(I:C)刺激により高いクロスプレゼンテーション及びIL-12産生能を示した。しかし、DCの分化に関わるとされている転写因子BATF3が欠損したマウスではCD8a+DCが減少し、かつ残存したCD8a+DCにおけるTLR3発現量が大きく低下していることが明らかとなった。さらに、Batf3欠損CD8a+DCではpoly(I:C)依存性クロスプレゼンテーション能及びIL-12産生能が著しく低下していた。これらのCD8a+DCの数的・質的要因により、Batf3を欠損している担がんマウスではpoly(I:C)依存性腫瘍退縮誘導能が著しく低下していることが明らかとなった。 今実験により、poly(I:C)依存性のクロスプレゼンテーション、及びそれに引き続く効果的な腫瘍退縮には、CD8a+DCにおけるTLR3シグナル経路が重要であることが明らかとなった。またそのような機能的に成熟したCD8a+DCの分化には転写因子BATF3の制御が必要であることが示された。 なお現在、本研究成果を学術雑誌へ投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
樹状細胞を介したpoly(I:C)依存性CD8+ T cell活性化メカニズムの一端を明らかにし、その機構が抗腫瘍免疫療法においても重要であることを示すことが出来たため。また、本研究成果を学術雑誌に投稿する段階まで進捗が認められたため。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに得られた研究成果は現在学術雑誌に投稿中であるため、掲載に向けて必要な追加研究を行う。 また今回解析を進めた制御機構以外の、poly(I:C)依存性クロスプレゼンテーション制御に関わる可能性がある新規分子の解析を並行して行ってゆく。
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