現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の予定通り1次元球座標系における相対論的電磁粒子モジュールの開発を完了した。一般にハミルトン力学系のエネルギー保存性を満足するには適切な数値積分法が必要であるが、一般座標では非線形項の出現により取扱いが複雑化する。本研究では反復解法の実装により非物理的な加熱現象を許容可能な程度に抑制した。また、運動論モジュールの開発を1年前倒しで開始した。先行研究で用いられる計算スキームは旧式で精度の低いものも存在するため、当面は球座標系における定式化のみを実施し、最新の計算スキームを輻射流体モジュールで検証したのちに流用するように方針変更した。流体モジュールの高度化に際して、本研究員は局所人工拡散法 (S. Kawai et al., J. Comput. Phys. 229, 1739, (2010)) に着目した。この手法は不連続面を検出して必要十分な人工粘性を作用させるため、金コーン表面などにおける非物理的な散逸現象や、2温度モデルにおけるエネルギー保存の破れなどの諸問題を解決出来る可能性があり、現在は文献調査やテストプログラム開発を行なっている。 また、爆縮実験の解析や提案も前倒しで実施した。光線追跡法を用いて流体プロファイルからX線写真を構築するコードを開発したことにより、開発中の統合爆縮コードの妥当性の検証が実験との直接比較によりできるようになった。さらに、等エントロピー爆縮に関する理論解析を行い、数値シミュレーションにより理論の正当性を検証した。
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