研究課題/領域番号 |
15J02654
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
鈴木 功一郎 慶應義塾大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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キーワード | 炎症 / ノックアウトマウス / ゲノムワイド関連解析 |
研究実績の概要 |
昨年度、目的とする化合物を発見し、その成果を論文にまとめ報告した。またAβオリゴマーとEphB2の結合を阻害するペプチドがアルツハイマー病モデルマウスの記憶障害を改善するという報告がなされた。以上の状況を踏まえて、より発展的な研究も開始した。EphB2は腸管増殖細胞のポジショニングにおいても重要な役割を果たしている。腸管上皮の増殖やポジショニングの異常は炎症性腸疾患(IBD)においてしばしば認められることから、創薬標的として重要と考えられる。そこでEphB2を含めた複数の関連分子について、健常人とIBD患者のゲノムワイド関連解析を行ったところ、複数の遺伝子に多型が検出された。これらは新たな創薬標的候補と考えられる。実際、このうち1つの遺伝子はノックアウトにより実験的大腸炎に対する感受性を変化させることが分かった。これまでにその遺伝子のノックアウトマウスがデキストラン硫酸ナトリウム誘導性の大腸炎に耐性を示すこと、その遺伝子が特に上皮細胞において重要な役割を果たしていることを見出している。また、ノックアウトマウスでは対照マウスと比較して、大腸炎を起こした際に浸潤してくる炎症性細胞である好中球と単球が少ないことを発見した。これらの細胞のリクルートの差が大腸炎感受性の違いに寄与していると考え、現在はこれらの細胞を呼び寄せるケモカインを中心にメカニズムの解析を進めている。上述の通り発展的な研究にも着手し、ノックアウトマウスと対照マウスを比較することでin vivoにおいてフェノタイプの明確な差を捉えることができている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
患者の遺伝子解析から新たな創薬標的候補を複数見出した。さらにそのうち1つの遺伝子についてはノックアウトマウスを使った実験に着手しており、既にin vivoで興味深いデータが得られている。以上を踏まえおおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は現在観察されているフェノタイプの差の根底にあるメカニズムの解明に取り組む。具体的には炎症性細胞をリクルートするケモカインの量や機能に変化が起きているという仮説を立てており、それを検証していく。また患者検体の解析を行うことも視野に入れている。
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