研究課題/領域番号 |
15J02668
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松井 智子 大阪大学, 人間科学研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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キーワード | 援助要請行動 / がん患者 |
研究実績の概要 |
本研究は,がん患者の心理社会的サポートサービスに対する援助要請行動の促進要因・阻害要因を把握し,心理社会的サポートサービスの利用を促進するためのサービス開発を目的とした。(サービスの内容及び名称に基づき「心理的サポート」から「心理社会的サポートサービス」とした。)平成27年度は,まずがん患者の心理社会的サポートサービスの利用に対する態度尺度を作成し,それを用いて心理社会的サポートサービスに対する援助要請行動の促進要因・阻害要因を検討した。 インターネット調査会社を利用して,外来通院中のがん患者を対象にアンケート調査を行った。作成した尺度は,利用後のポジティブな結果期待,主観的規範,スティグマに対する抵抗感,利用後のネガティブな結果に対する懸念,援助要請に対する抵抗感の5因子32項目からなり,信頼性および妥当性が確認された。 次に,上記の調査(Time1)から約半年後に,Time1時点で心理社会的サポートサービスを利用したことのない者(以下,非利用者)を対象に追跡調査(Time2)を行った。行動変容理論のひとつであるトランスセオレティカルモデルを参考に,がん患者の問題の認識と心理社会的サポートサービスの利用について非利用者の行動変容のステージを,無関心期(適応),無関心期(適応障害・大うつ病),そして関心期の3つに分類した(以下,利用ステージと呼ぶ)。そして,利用ステージごとに,実際の心理社会的サポートサービスの利用への促進要因・阻害要因を検討した。その結果,無関心期(適応)では,Time1時における援助要請に対する抵抗感,医療スタッフまたは家族からの勧め,そしてTime1時の将来に対する心配が,無関心期(適応障害・大うつ病)では,医療スタッフまたは家族からの勧めが,関心期ではTime1時における社会や対人関係に関する心配が影響することがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
同一サンプルに対して半年の期間をあけてインターネット調査を計画していたところ(time1, time2)、平成27年6月末に当初依頼予定であった調査会社に必要サンプル数が存在しないことが発覚した。その後,必要サンプル数を満たすコホートを所持する調査会社を見つけたが,予算を考慮した質問数への大幅な再調整が必要があった。さらに,調査会社の保持するコホートの最新パネルが利用できる時期および予算執行時期,そして対象者の回答時期を考慮し,年度をまたいだ計画へ修正したため。
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今後の研究の推進方策 |
平成27度に計画していた調査が遅れたため,次年度に予定している調査時期を早めることや,調査期間を短縮すること,予備調査をなくし,またインタビュー調査を自由記述に変更するなどして対応する。
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