研究課題
褐色脂肪組織はミトコンドリアにおけるUCP1 (Uncoupling protein-1)の作用によってミトコンドリア内膜内外のプロトン濃度勾配を脱共役し熱としてエネルギーを消費する点に特徴がある。近年ヒト成人における機能的な褐色脂肪組織の存在が報告されており、また褐色脂肪組織の活性とBMIは負に相関する。よって褐色脂肪組織の数を増やす、ないし働きを高めることが可能になれば肥満症、メタボリックシンドローム、肥満2型糖尿病の新たな治療につながり得ると考えられ、期待されている。我々はマウス褐色脂肪組織、皮下白色脂肪組織、内臓白色脂肪組織に対してFAIRE-seq (Formaldehyde-Assisted Isolation of Regulatory Elements coupled with high-throughput sequencing)を施行し、ゲノム上のオープンクロマチン領域を網羅的に同定してきた。褐色脂肪特異的なオープンクロマチン領域には転写因子NFIの結合モチーフが濃縮していた。NFIファミリーにはNFIA、B、C、Xの4種類のアイソフォームが存在するが、このうちNFIAはIn vivo、In vitroの双方で骨格筋や白色脂肪と比較して褐色脂肪で高発現していた。C2C12筋芽細胞への遺伝子導入実験、褐色脂肪細胞における遺伝子ノックダウン実験、NFIAノックアウトマウスの解析からNFIAは褐色脂肪細胞分化の新規制御因子であると考えられた。ChIP-seq(Chromatin immunoprecipitation coupled with high-throughput sequencing)及びRNA-seqを含む網羅的解析により、NFIAが褐色脂肪細胞特異的な転写制御・エピゲノム制御において果たす役割を明らかにした。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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