研究課題/領域番号 |
15J02903
|
研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
大橋 麻里子 一橋大学, 大学院社会学研究科, 特別研究員(PD)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2019-03-31
|
キーワード | 現代アマゾニア / シピボ / 森林政策 / 先住民政策 / 先住民運動 / 森林管理 / 環境保全 / メキシコ |
研究実績の概要 |
本研究の課題は、アマゾンの森林に住む先住民の生活戦略について、彼らの広義の生活圏の中、政府や開発援助機関をはじめとする多様なアクターとの関わり合いを通して明らかにすることである。 2017年度は、先住民居住域の森林にかかわろうとする外部者の意思・思惑を明らかにするために、森林政策と先住民政策について分析を行った。その結果、ペルーでは、先住民政策と森林政策が、ともにリンクしてきた可能性が考えられた。こうしたことが、ラテンアメリカ地域の典型的特徴であるかどうかを検討するために、早期から先住民運動が活発化してきたメキシコにおいて、2月7日から28日までフィールドワークを実施した。メキシコでは、民族誌や森林管理に関連する文献収集を行ったほか、天然資源環境省や現地環境NGO(Consejo civil mexicano para la silvicultura sostenible)での聞き取り、マヤ人コミュニティ(ユカタン州テルチャックプエブロ市、タツィウ市、ペト市、キンタナロー州ツィウチェ村)においての森林利用に関する調査を実施した。この結果、ペルーの森林政策と先住民政策の関係はラテンアメリカ諸国に見られる典型ではなく、ペルー独特のものである可能性が明らかになった。この点は、本研究を遂行する上で見えてきた重要な視点である。 研究成果としては、1)アンデス・アマゾン学会において、外部者が持ち込む持続的森林管理(住民主体による木材生産活動)による先住民社会への影響について、スペイン語で発表を行い、参加していたペルー人の研究者と意見交換を行った。2)国立民族学博物館主催の国際シンポジウム「歴史生態学から見た人と生き物の関係」において、シピボの氾濫原を利用したプランテイン・バナナ栽培に関する発表を行い、東アマゾンをフィールドにする歴史人類学・歴史生態学・考古学者と意見交換を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2017年度は出産・育児のため10ヶ月間に渡って研究を中断したが、そうしたなかでも国際学会・会議での発表を2回行い、研究者との意見交換をしたことで、本研究を発展させていくための新たな視点を得ることができた。また、研究中断後にフィールドワークを再開できただけではなく、ペルー以外の熱帯林を有するラテンアメリカ諸国の実態を把握したことで、本研究の位置づけを相対化をすることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
2018年度は最終年度となるが、研究中断によって実施できていなかったペルーでのフィールドワークを計画している。また、Latin American Stuides Association(スペイン・バルセロナで開催)やInternartional Society of Ethnobiology(ブラジル・ベレンでの開催)に参加をすることで、アマゾンをフィールドとする海外研究者との交流を期待している。将来的に、ペルー以外のアマゾン諸国においてフィールドワークを開始することを計画しているが、それに向けたネットワークの開拓ができれば、と考えている。
|