研究課題
筆者はN―位にフェニル基またはナフチル基を有する白金(II)錯体を合成し、その構造と発光特性について調査した。単結晶 X 線構造解析から、N―アリール部位が白金配位平面から垂直に立ち上がった構造をしていることを明らかにした。また、アルキル置換基を有する錯体及びナフチル基を有する錯体が結晶中、溶液中において分子内白金水素相互作用を形成することが単結晶 X 線構造解析及び 1H NMR 測定から明らかとなった。室温、結晶状態においていずれも橙色発光を示した。その発光量子収率は分子内白金―水素相互作用を有する錯体が分子内相互作用を持たない錯体と比較して高い値を示した。発光強度の熱耐性や集積構造から考察した結果、分子内白金―水素相互作用の存在が室温、結晶状態における高い発光量子収率に大きく寄与したことが強く示唆された。また、 筆者は渡環構造を有するN―フェニル型白金(II)錯体を合成し、その分子構造と発光特性について調査した。単結晶 X 線構造解析及び 1H NMR 測定から渡環構造と渡環鎖長に依存した特徴的な分子内白金―水素相互小夜うの形成を確認した。各錯体は低温ガラス状態で黄橙色から橙色に渡る発光を示し、その極大発光波長は渡環鎖が長くなるにつれて長波長シフトした。また、いずれの錯体も室温結晶状態においては微発光を示したが、渡環鎖長 5 の錯体は室温アモルファス状態において他の錯体には見られない高い発光量子収率を示した。一連の結果から、渡環鎖長や固体状態を変化させることで発光色や発光量子収率を制御できることを明らかにした。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Trans. Met. Chem.
巻: 43 ページ: 115-125
10.1007/s11243-017-0198-9.