研究課題/領域番号 |
15J03228
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
前大 純朗 早稲田大学, スポーツ科学研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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キーワード | 下り坂歩・走行 / 膝関節伸展筋群 / 方向転換走 / 有酸素性作業能力 / 筋損傷 |
研究実績の概要 |
本研究課題は、筋が伸ばされながらブレーキをかけるように力発揮する伸張性収縮に着目し、そのトレーニング効果や特徴を明らかにすることを目的としている。平成28年度は、下肢筋群の伸張性運動の代表例である「下り坂走」によるトレーニングが、下肢筋力や有酸素性作業能力などの様々な運動パフォーマンスに及ぼす効果について、平地走トレーニングのそれとの比較から検証した。若年男性が、乳酸閾値相当の心拍数で、下り坂(傾斜-10%)または平地走トレーニングを1回20分、週3回、5週間実施した。介入前後に、膝関節伸展トルク、脚伸展パワー、垂直跳び跳躍高、直線・方向転換走タイム、有酸素性能力を測定した。その結果、下り坂走トレーニングは膝関節伸展筋力・方向転換走能力を高めるものの、平地走トレーニングで観察されるような有酸素性能力の改善は生じさせないことが示唆された。 また、大腿四頭筋の伸張性運動で生じる筋損傷の好発部位とその課題依存性を検証した。成人男性が下降局面のみのニーエクステンション、スクワット、あるいは下り坂歩行のいずれかを行った。課題実施前および24、48、72時間後に、大腿部のT2強調MR画像を取得し、大腿四頭筋4筋それぞれの近位、中間位、遠位におけるT2値を算出した。加えて、大腿前部の押下時筋痛(9部位)および等尺性膝関節伸展筋力を測定した。主な結果として、T2値の上昇や強い筋痛が発生した部位は実施した課題により大きく異なり、ニーエクステンションでは大腿直筋の近位が、スクワットおよび下り坂歩行では内側広筋の中間位が損傷しやすいことが示唆された。また、外側広筋では全ての課題に共通して有意なT2値変化は観察されず、筋損傷に対する抵抗性が高いことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り進展していることに加え、その研究成果の一部はすでに複数の国際学術誌に掲載されているため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、下り坂歩行や走行トレーニングにより運動能力が改善するメカニズムを検証する研究を行う予定である。
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