研究実績の概要 |
本研究課題は,市民の価値観を含む文化的サービスを指標とした都市の緑地評価・計画手法を明らかにするとともに体系化することを目指したものである。研究期間の1年目である本年では,主に以下の研究を行った。また,下記以外にも市民の参加促進に向けたボランティアコーディネートの仕組みや地方自治体の施策を調査した。 1. 市民意識に基づいた生態系サービス各種の評価の重み付けのフレームワークの構築 全国の市民を対象に,2016年2月にオンラインアンケートを実施した。1,800名の回答を回収した。生態系サービスに関する活動を12件あげ,「仮にあなたが、自分の住む地域の保全活動団体に助成金を分配することになったとします。助成金額は総額670万円です(1件あたり50万円~300万円)。4件選び、助成金670万円を分配してください。」という質問を行った。自然災害の防止の活動の選択が最も多かった。一方で,文化的サービスに当たるレクリエーションの提供の活動の選択は12件のうち2番目に少ない結果となった。自然災害の防止の活動の分配金の平均金額は219.31万円で,レクリエーションの提供の活動は149.21万円であり,分配金の金額にも差があった。 2. 市民の自然体験行動と緑地保全活動参加意思を指標とする文化的サービスの緑地評価 研究の対象地として埼玉県鶴ヶ島市を選定し,2015年5月に住民を対象にしたアンケートを実施した。4,000通を配布し,756通の回答を回収した(回収率18.9%)。労働意思量は0~120日内の数字を記入してもらった。各緑地の1,000m圏内の居住者は,圏外の居住者よりも,その緑地保全への労働意思量が有意に高いことがあきらかになった。その条件として,緑地の面積が1ha以上であることが研究結果から考えられる。結果は,2015年度日本造園学会関東支部大会で発表した。
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