前年度までの解析から、Gα13共役型受容体であるLPS2/2Lが胚中心B細胞(GC B cell)数を負に制御することが明らかとなった。これまで、GC B cell数を負に制御する他のGα13共役型受容体として、GC B cellに高発現し、直接的にその数を制御するS1P2が報告されている。そこで、LPS2/2LとS1P2の機能的な違いを調べるため、本年度は各受容体を比較し、解析を行った。まず発現解析を行うと、S1P2はGC B cellに高発現している一方、LPS2/2LはGC B cell以外のB細胞(Non-GC B cell)に高発現していた。次に、LPS2/2L DKOマウスでは、GC形成時にNon-GC B cell、GC B cell数が有意に増加した。さらに切片レベルの解析から、LPS2/2L DKOマウスの所属リンパ節では、Non-GC B cellが存在する濾胞外縁部からGC B cellの前駆細胞と考えられるGL7陽性細胞が増加し、濾胞中央部でGC形成が亢進していた。このことから、LPS2/2Lは濾胞外縁部でNon-GC B cellの数、さらにGC B cellの前駆細胞への分化を負に制御するというS1P2とは異なった機能を有していることが示唆された。また、興味深いことに濾胞外縁部ではリガンドであるLysoPSが豊富に存在していた。次に、マウスから単離したB細胞を抗CD40抗体とIL-4で刺激すると、細胞画分でLysoPSが増加し、LPS2/2L依存的にB細胞の接着性が低下した。このことから、B細胞を活性化するとLysoPSが産生され、オートクライン様に作用することが示唆されたが、LPS2/2L依存的な接着性の低下がNon-GC B cellの数やGC B cellの前駆細胞への分化の負の制御にどのような影響を与えるか今後詳細な解析が必要である。
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