研究実績の概要 |
1. 網膜血管新生におけるテネイシン-C産生細胞の検討 (In vitroアッセイ系):増殖糖尿病網膜症の硝子体内で増加すると報告のあるサイトカイン(IL-6, IL-8, IL-13, MCP-1, IGF-1, TGFβ2, VEGF)を用いて血管平滑筋細胞を刺激したところ、IL-13によってテネイシン-Cの発現が有意に上昇した(qPCR, ELISA, WB)。 2. テネイシン-C中和抗体による網膜血管新生の抑制効果の検討 (In vitroアッセイ系):平滑筋細胞にIL-13を添加した条件培地を用いて血管内皮細胞を培養したところ、無刺激の血管平滑筋細胞条件培地と比べて管腔形成能が有意に上昇した。さらに、IL-13刺激血管平滑筋細胞条件培地にテネイシン-C中和抗体を添加したところ、無刺激の血管平滑筋細胞条件培地と同程度まで管腔形成能を抑制した。以上の結果から、テネイシン-C中和抗体が網膜血管新生を抑制することが示唆された。 3. テネイシン-Cノックアウトマウスを用いた脈絡膜血管新生抑制効果の検討 (In vivoアッセイ系):テネイシン-Cノックアウトマウスを用いて、滲出型加齢黄斑変性の動物モデルであるマウス脈絡膜新生血管(CNV)モデルにてCNV抑制効果を検討した。テネイシン-CノックアウトマウスのCNV体積はコントロールの野生型マウスと比較して有意に減少した。 4. テネイシン-C siRNAを用いた脈絡膜血管新生抑制効果の検討 (In vivoアッセイ系):野生型マウスのCNVモデルにテネイシン-C siRNAを硝子体注射し、CNV抑制効果を検討した。テネイシン-C siRNA硝子体注射群ではコントロールsiRNA硝子体注射群と比較して減少した。以上の結果よりテネイシン-C siRNAは滲出型加齢黄斑変性の治療薬になり得ることが示唆された。
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