研究実績の概要 |
本研究は、マダニにおける遺伝子ノックアウト・ノックインの遺伝子改変技術を確立し、また、オートファジー関連分子 HlATG6/HlAtg6 のより詳細な機能解析を行い、マダニ繁殖生理における分子基盤の一端を解明することを目的としている。また、本研究の成果を、マダニ及びマダニ媒介感染症の新規防除法確立の足掛かりとすることを大きな目標とする。 これまでの研究により、RNA 干渉法 (RNAi) を用いて HlATG6 遺伝子のノックダウンを行った結果、HlATG6 遺伝子はフタトゲチマダニの卵形成過程において重要な役割を担うことが判明している(Kawano et al., 2013)。 前年度に行ったフタトゲチマダニ卵母細胞の発育過程についての形態学的解析により、当該年度において、実験結果を正しく評価するために必要とされる卵母細胞の発育ステージ分類法はすでに確立されている。 当該年度は、前年度の報告書に記載した研究計画に基づき、フタトゲチマダニにおける遺伝子ノックイン・ノックアウトを行うための TALEN システムの構築を試みた。しかし、フタトゲチマダニにおけるTALEN を用いた遺伝子ノックインおよびノックアウトの成功には至らず、TALEN を利用した遺伝子改変システムを確立するには至らなかった。TALEN を用いた遺伝子ノックイン・ノックアウトをフタトゲチマダニへ適応させ、システム系を確立させることが、本研究の鍵となる重要な部分であった。本研究の根幹となる目標を達成できず、以降の研究計画も頓挫する運びとなった。本年度の研究において、目に見える大きな成果は得られず、論文として形にできる実績も残せていない。
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