研究課題/領域番号 |
15J03545
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
松村 亮佑 東北大学, 医工学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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キーワード | 神経細胞 / グリア細胞 / パッチクランプ |
研究実績の概要 |
本研究では,基板表面に細胞の接着領域をパターニングすることにより神経細胞の配置と軸索の伸長方向を制御し,脳の機能を発現する最小の神経細胞ネットワークを構築することを目的としている.パターン基板はガラス基板にオクタデシルシランを修飾して非接着領域とし,マイクロコンタクトプリンティング法を用いて細胞接着支持分子を転写して作製する手法を用いた.まず回路構築の前段階として,非対称な形状の接着領域パターンを2つ連続させた単純な直線回路を構築した.その際,パターンの間に,樹状突起は伸長できないが軸索は超えられる間隔10 umを設けた.このようにして構築した2細胞回路内のシナプス形成について蛍光免疫染色による観察を行った結果,シナプスは樹状突起だけでなく細胞体や軸索にも確認でき,シナプスの密度が培養日数を経ていくほどに多くなっていくことが分かった.さらに,信号伝達機能を電気生理的に調べるために去年立ち上げたパッチクランプ計測法を用いて,2細胞への刺激と細胞内電位測定を行った.片方の細胞を刺激し,もう片方の細胞への後シナプス電位発生の有無を調べると,信号伝達の起こっていたペアの77%において,設計パターンの方向への信号伝達が起きていた.これらの結果は,非対称パターンを用いることで信号の伝達方向を制御した2細胞接続回路が形成できたことを意味する.今年度までで単純な直線回路の形成まで進めることができたため,今後このパターンを基本にし,より複雑な構造のモデルの構築へと発展させていく予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
パターン基板により軸索の方向を制御した2細胞単純直線回路を形成し,去年立ち上げたパッチクランプ計測系を用いてパターン通りに信号伝達方向の制御ができているかを調べ,パターン方向に沿って信号が伝達されていることを確認した.これにより単細胞の非対称パターンを用いることで信号伝達方向を制御した回路の形成が可能であることが確認され,より複雑な神経回路構築への準備ができた.
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今後の研究の推進方策 |
単純な神経回路の構築とその神経活動の測定系の立ち上げまで進捗したため,今後は神経回路の機能評価へと展開する.さらに神経回路の評価系として最適なパターン電極基板の作製も検討していく.
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