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2016 年度 実績報告書

金ナノ粒子をモデルとした、生体内でのアミロイド線維形成機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 15J03570
研究機関大阪大学

研究代表者

牟田 寛弥  大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2015-04-24 – 2018-03-31
キーワード金ナノ粒子 / アミロイド線維 / 核磁気共鳴法
研究実績の概要

現在、卵白リゾチーム(Hen Egg White Lysozyme)の線維形成における金のナノ粒子の効果を検証している。リゾチームの線維形成は、酢酸緩衝液を終濃度25mM加えてpHを4.8付近に調製し、2,2,2-トリフルオロエタノールを終濃度50%(体積分率)加え、チオフラビンT(ThT)を終濃度5μM加えた溶液条件で行った。金のナノ粒子は、終濃度で0から250nMの広い濃度範囲で加え、その効果を検証した。線維形成によるチオフラビンTの蛍光値の上昇を、超音波照射装置を組み込んだ蛍光高度計により観察した結果、すべての金ナノ粒子の濃度領域において、線維形成が促進されることを確認した。今回検証したリゾチームの線維形成に対する金のナノ粒子の効果を、ヘパリンや塩化ナトリウム、硫酸ナトリウムなどの様々な添加物の効果とともに,現在、学術論文としてまとめている最中である。
並行して、「様々なアミロイド性ペプチドが混在する複雑な系におけるアミロイド線維形成機構の解明」というテーマで研究を行っている。こちらでは、透析アミロイドーシスに関連する蛋白質であるβ2-ミクログロブリン(β2m)と、そのアミロイド原生の高い配列をAchromobacterプロテアーゼI(API)により切り出した加水分解断片(K1,K2,K3,…,K9)について着目している。特に興味深いのは、K3断片単独の凝集に比べて、加水分解断片の混合物中でのK3断片の凝集が、遅れる傾向にあること。そして、β2m全長とK3断片の両分子種が混在した系では、さらに、K3断片の凝集が抑えられるということである。
これらの現象を、副次的な蛋白質間相互作用が存在した場合の線維形成に対する影響の典型例であると考え、プレートリーダーを使った様々な濃度比実験による化学量論的理解、ならびに核磁気共鳴法(NMR)による構造的理解を積極的に行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

申請者は現在、「金のナノ粒子をモデルとした、生体内でのアミロイド線維形成機構の解明」と、「様々なアミロイド性ペプチドが混在する複雑な系におけるアミロイド線維形成機構」の二つの研究テーマを並行して行っている。加えて、どちらも学会発表に足りる結果を出しており、今年度中に学術論文として投稿できる予定である。本研究で得られた知見は、アルツハイマー病やパーキンソン病などの、アミロイド線維の関連する難病について、分子生物学的な病態を議論する際に大変重要である。

今後の研究の推進方策

今後とも、申請者は、両テーマを並行して進め、実際の生体内におけるアミロイド線維形成の機構の解明に努める。すでに、第17回日本蛋白質科学会年会での口頭およびポスター発表が決定している。さらに現在執筆を進めている最中である論文を、両テーマで二報、学術ジャーナルに投稿する所存である。これらの研究活動に加えて、申請者は、所属する若手の会において、分野外の研究者との交流を図り、自身の研究成果を発信するにとどまらず、共同研究の発案など、さらに躍進する所存である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Variation of free-energy landscape of the p53 C-terminal domain induced by acetylation: Enhanced conformational sampling.2016

    • 著者名/発表者名
      Iida S, Mashimo T, Kurosawa T, Hojo H, Muta H, Goto Y, Fukunishi Y, Nakamura H, Higo J.
    • 雑誌名

      Journal of Computational Chemistry

      巻: 37 ページ: 2687-270

    • DOI

      10.1002

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 「複数のアミロイド性ペプチドの混在する複雑な系におけるアミロイド線維形成機構」2016

    • 著者名/発表者名
      牟田 寛弥,宗 正智, 櫻井 一正,後藤 祐児
    • 学会等名
      第54回生物物理学会
    • 発表場所
      つくば国際会議場(茨城県、つくば市)
    • 年月日
      2016-11-25 – 2016-11-27
  • [学会発表] 「過飽和に支配されたアミロイド線維形成の超音波による促進」2016

    • 著者名/発表者名
      牟田 寛弥,李 映昊,Jozef Kardos,林 雨曦, 八木 寿梓,宗 正智, 櫻井 一正,後藤 祐児
    • 学会等名
      第25回ソノケミストリー研究会
    • 発表場所
      富山大学五福キャンパス(富山県、富山市)
    • 年月日
      2016-10-21 – 2016-10-22
  • [学会発表] 「Amyloid Fibrillation in Promiscuous Systems Containing Various Amyloidgenic Peptides」2016

    • 著者名/発表者名
      Hiroya Muta, Masatomo So, Kazumasa Sakurai, and Yuji Goto
    • 学会等名
      The 27th International Conference on Magnetic Resonance in Biological Systems
    • 発表場所
      京都国際会議場(京都府、京都市)
    • 年月日
      2016-08-21 – 2016-08-26
    • 国際学会
  • [学会発表] 「複数のアミロイド性ペプチドの混在する複雑な系におけるアミロイド線維形成機構」2016

    • 著者名/発表者名
      牟田 寛弥,宗 正智, 櫻井 一正,後藤 祐児
    • 学会等名
      第16蛋白質科学会年会
    • 発表場所
      福岡国際会議場(福岡県、福岡市)
    • 年月日
      2016-06-07 – 2016-06-09

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公開日: 2018-01-16  

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