研究課題
本研究の目的は、日中同形語および日韓同形語に関して、言語間での語彙的統語情報のずれによる制御困難が生じるかをテスト調査および実験で検討することによって、言語間同形語の語彙的統語情報の処理における非選択的な活性化という現象がどこまで適用されるかを明らかにすることである。それを踏まえて、平成29年度は特に以下の研究を進めた。(1)中国人日本語学習者の日中同形同義語の品詞の習得状況と、学習者の日本語の語彙および文法知識の両側面から品詞習得への影響を検討した。調査の結果、「日=中」と「日⊂中」は得点が高く、残りの3つは、「日⊃中」、「日∪中」、「日≠中」の順で低くなった。また、「日=中」「日⊂中」「日∪中」の文レベルでの習得に,いずれも各タイプに関連した日本語の品詞の知識および形態素変化と局所依存の文法知識が貢献していることが分かった。(2)日本の大学に在籍している超上級の韓国人日本語学習者を対象に、日韓同形同義語を用いてL1韓国語とL2日本語の語彙性判断課題を行い、韓国人日本語学習者が日本語の漢字知識によって韓国語の漢字語を習得することを証明した。(3)中国語で独自の品詞が存在し、それが日本語に存在しない日中同形同義語の習得については、語彙知識が豊富な中国人日本語学習者であっても、品詞習得の正答率は53.2%でしかなく、中国語の品詞情報の影響がなかなか抑えられないことを実証した。同じ語であっても、日中両言語の品詞の対応関係によって習得に違いがあるため、同形同義語の品詞習得については、両言語の品詞の類似と相違の両方から検討しなくはならないことを示した。本年度では上述したように、研究論文および学会発表を通して研究成果を報告した。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
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