研究課題/領域番号 |
15J03645
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鈴木 裕太 東京大学, 新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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キーワード | 生体生命情報学 / ゲノム / アルゴリズム |
研究実績の概要 |
本年は、アレル特異的DNAメチル化決定アルゴリズムを適用しその性能を評価するための実データが利用可能となったことから、当該アルゴリズムを実データに適用しつつ研究を行うことができた。トリオデータを活用し決定された染色体を区別可能な塩基変異の集合をもとにして、本研究で開発中の方法を適用し、両相同染色体に対応する二種類のメチル化解析データを生成した。ここから、アレル特異的メチル化が起こっている候補領域をCpGアイランド領域を中心に探索し、さらにこれらの領域に近接する遺伝子群を決定した。ここで決定した遺伝子のリストには peg13/mest/hymai/znf597 等のよく知られたimprinted genes(特定の性の親由来の染色体からのみ発現する遺伝子で、その理由としてアレル特異的DNAメチル化が関与していることが知られている)が含まれている。また、imprintingとは無関係のアレル特異的DNAメチル化が存在することが近年になり多数報告されているが、今回の結果にもそのような例と考えられる遺伝子が多数見つかった。その中には、sdhap3/dusp22などメチル化状態の変化が疾患等の表現型と関連付けられているものもあった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年は、アレル特異的DNAメチル化決定アルゴリズムを適用しその性能を評価するための実データが利用可能となったことから、当該アルゴリズムを実データに適用しつつ、アレル特異的DNAメチル化の解析を進めることができた。 トリオデータを活用し決定された染色体を区別可能な塩基変異の集合をもとにして、本研究で開発中の方法を適用し、両相同染色体に対応する二種類のメチル化解析データを生成した。ここから、アレル特異的メチル化が起こっている候補領域をCpGアイランド領域を中心に探索し、さらにこれらの領域に近接する遺伝子群を決定した。ここで決定した遺伝子のリストには peg13/mest/hymai/znf597 等のよく知られたimprinted genes(特定の性の親由来の染色体からのみ発現する遺伝子で、その理由としてアレル特異的DNAメチル化が関与していることが知られている)が含まれている。また、imprintingとは無関係のアレル特異的DNAメチル化が存在することが近年になり多数報告されているが、今回の結果にもそのような例と考えられる遺伝子が多数見つかった。その中には、sdhap3/dusp22などメチル化状態の変化が疾患等の表現型と関連付けられているものもあった。現在、これらの結果を論文として報告する準備を進めている。また、以上の研究の基礎となるメチル化検出アルゴリズムについて報告した論文は、現在査読中である。 総合すると、本年度は有利なデータリソースの登場により具体的なデータ解析を進めて新規な知見を得ることができた。これらの知見は、より本格的なアルゴリズムの開発に有用であると見込んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、メチル化およびアレル特異的決定アルゴリズムの高度化を進める。現時点での具体的方針としては、アルゴリズム全体を確率モデルの学習として再定式化すること目指す。これまで標準的パイプラインに頼っていた一分子動力学生データの処理等を統計的観点から見直し、一貫した理論的取扱いを実現することを目標にする。
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備考 |
開発中のアルゴリズムを実装したソフトウェア
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