研究実績の概要 |
申請者はこれまでの研究結果から、RBM47は代謝機能に関わる因子のRNAの制御を介して、腫瘍の増殖を抑制することを明らかにした。今年度は、「RBM47が代謝機能制御因子として働く際の遺伝子発現メカニズムを解析する」ことを目的として研究を行った。 (1) RBM47のknockdownによるミトコンドリア代謝酵素 (ATP5L, NDUFS6) のmRNAとタンパク質の発現量の変化を評価した。RBM47のknockdownによりATP5LとNDUFS6のmRNAとタンパク質の発現量にわずかな増加が観察された。 (2) RBM47のknockdownによるKelch-like ECH-associated protein 1 (KEAP1) と Cullin3 (CUL3)のmRNAとタンパク質の発現量の変化を評価した。RBM47のknockdownによりKEAP1とCUL3のmRNAの発現量に顕著な変化は見られなかった一方で、RBM47のknockdownによりKEAP1とCUL3のタンパク質の発現量が減少することが観察された。また、RBM47のknockdownによりNrf2の標的遺伝子GPX2とSRXN1のARE部位への結合量の増加が観察された。
Nrf2の制御機構において、KEAP1やCUL3のmRNAに結合するタンパク質については不明な点が多いが、本研究でRBM47がKEAP1やCUL3のmRNAに結合することを示した。また、RBM47のknockdownにより、KEAP1やCUL3の発現が減少したことから、RBM47はKEAP1やCUL3のmRNAに結合することで、KEAP1やCUL3の翻訳制御に関わり、Nrf2の活性を抑制していることが考えられる。
|