研究課題
本研究では、イネの芒形成に関わる遺伝子RAE2を同定し、その機能を解明することを目的としている。2016年度中に以下のことを達成した。1.RAE2の属する遺伝子ファミリー(EPF/EPFL)を含む分泌性ペプチドは一般に、前駆体として遺伝子にコードされ、翻訳された前駆体ペプチドが修飾酵素により切断、修飾を受けることによって生理活性を示す成熟型ペプチドとなる。前年度にRAE2は穂特異的に成熟型ペプチドとなることを報告した。今年度は穂特異的な発現を示すセリンプロテアーゼを探索し、SLP1と名付けた一つのプロテアーゼが候補として同定された。合成したRAE2ペプチドとSLP1を混合した後、LC-MS解析によって、in vivoでの切断位置と同等であることを証明し、SLP1がRAE2を切断する特異的なプロテアーゼであることを見出した。2. 世界中の野生イネと栽培イネ、あわせて130種におけるRAE2のアミノ酸配列を比較したところ、第2エキソンへの塩基挿入に起因する機能ドメインのシステイン数の変化により4C、5C、6C、7Cの4種類に分けられることが明らかとなった。芒形成における機能を検証するため、それぞれの過剰発現体を作出したところ、6Cのみが機能型であり、他3つのバリアントは非機能型であることが示された。また、興味深いことに、アフリカのイネは野生種、栽培種ともに機能型のRAE2(6Cタイプ)を保持していることが明らかとなった。このことは、アジアのイネの栽培化においてはRAE2の機能欠損が選抜されたけれども、アフリカでは異なる遺伝子が選抜されることによって、無芒という共通の表現型が選抜されたことを示している。これらの結果と、前年度の結果をあわせて論文にまとめ、Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. Aに発表した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Proc Natl Acad Sci U S A.
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10.1073/pnas.1604849113.
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