研究課題
今年度は、高ガイド磁場リコネクション時の電子加熱について中心に研究し、それを論文として発表した。UTST実験装置におけるプラズマ合体実験において、トムソン散乱計測装置によって計測された電子のX点における局所加熱について、定量的に評価し、その加熱機構を論じた(Phys. Plasmas 22 101201 2015)。また、こうガイド磁場リコネクション時の解析的な電磁場モデルを構築し、UTST装置のプラズマパラメータを利用して、テスト粒子シミュレーションを行い、その結果をスウェーデンのNorditaで開催された国際学会「Magnetic reconnection in Plasmas」やアメリカ物理学会のプラズマ部門で発表した。また、磁気リコネクションのエネルギー変換機構を考える際、電磁場の局所的な構造が非常に重要となるため、粒子シミュレーションによって詳細な物理機構の解明を目指し、核融合科学研究所理論シミュレーションセンターとの共同研究を進めた。高ガイド磁場リコネクションに対して、解放系の粒子シミュレーションを行い、準定常状態時の解析を行ったところ、電子とイオンのふるまいが異なることに起因する電荷分離がX点周辺のみならず、セパラトリックスでも発生することが分かった。その結果、電荷分離によって生じる電子ジャイロ径スケールの電場変化が電子の磁気モーメント保存を破ることで電子加熱がセパラトリックスで生じると考えられる。このシミュレーション結果に関して、Princeton Plasma Physics Laboratoryへ訪問した際、現地の研究者と議論と意見交換を行った。現在、このシミュレーション結果に基づいた論文を現在執筆中である。
2: おおむね順調に進展している
実験結果を論文としてまとめることができたが、計測器の故障などもあり、UTST実験装置での実験準備がやや遅れている。しかし、その分、核融合科学研究所理論シミュレーションセンターとの共同研究による数値粒子シミュレーションが期待以上に進んでおり、全体としてもおおむね順調に進展している。
数値シミュレーション結果の詳しい解析を行うことで、ガイド磁場リコネクション時のエネルギー変換の物理機構を明らかにする。また、得られた物理機構が正しいかどうか、ガイド磁場リコネクションの実験を行い、詳細な計測を行う。問題点として、UTST装置では磁場が強いため、計測の空間分解能が足りないことが考えられ、そこは実験装置を変更することなどによって対応する予定である。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 5件)
Physics of Plasmas
巻: 22 ページ: 101201
10.1063/1.4932339
巻: 22 ページ: 101202
10.1063/1.4932345
電気学会論文誌A
巻: 135 ページ: 727, 728
10.1541/ieejfms.135.727