研究課題/領域番号 |
15J03758
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
郭 学瀚 東京大学, 新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2018-03-31
|
キーワード | 磁気リコネクション / エネルギー変換 |
研究実績の概要 |
今年度は、高ガイド磁場リコネクションの粒子シミュレーションについて中心に研究し、それを論文として発表した。また、プリンストンプラズマ物理研究所(PPPL)にてガイド磁場リコネクションの共同実験を行った。 昨年度から、核融合科学研究所理論シミュレーションセンターとの共同研究を進めており、高ガイド磁場リコネクションに対して解放系の粒子シミュレーションを行い、準定常状態時の解析を行っている。その結果、セパラトリックスでの荷電分離が生じることで発生した電子ジャイロ径スケールの電場は、一般化されたオームの法則における圧力項と慣性項によって支えられていることが分かった。そのようなミクロな電場構造によって、電子の磁気モーメント保存が破れることで電子加熱がセパラトリックスで生じることが分かった(Physics of Plasmas 24, 032901 2017)。 以上のようなシミュレーション結果をアメリカ物理学会のプラズマ部門や国際学会「Magnetic Reconnection 2017」などで発表したところ、現在NASAを中心に行われている衛星観測ミッション「MMS」のデータ解析を行っている他国の研究者から高評価を受け、今後協力ができないかを模索している。 また、PPPLでは現地の研究者の協力を得て、MRX装置でガイド磁場リコネクションの実験を行った。その結果、X点近傍での電子加熱や、セパラトリックスでの磁場揺動、プラズマポテンシャルの構造変化などと複数の興味深い結果が得られており、現地の研究グループと議論を重ねている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
シミュレーション結果を論文としてまとめることができた。 今年度はUTST実験装置ので実験を行わずに、米国プリンストンのプリンストンプラズマ物理研究所(PPPL)へ赴き、現地の研究者の協力を得ることでMRX装置でガイド磁場リコネクションの実験を行った。その結果、X点近傍での電子加熱や、セパラトリックスでの磁場揺動、プラズマポテンシャルの構造変化などと複数の興味深い結果が得られており、現地の研究グループと議論を重ねており、全体としておおむね順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
数値シミュレーションによって、無衝突ガイド磁場リコネクション時の電子への加熱機構が明らかになったため、この先は非対称のガイド磁場リコネクションでは何が起こるのか、またイオンを対象としたエネルギー変換機構の解明を目的にシミュレーションを進めていく。 実験では、ガイド磁場リコネクション時の電子温度の異方性を計測する予定である。
|