研究課題/領域番号 |
15J03789
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小椋 郁馬 東京大学, 法学政治学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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キーワード | アメリカ / 世論 / 分極化 |
研究実績の概要 |
今年度は、(1)アメリカの有権者の間で経年的に分極化は進んできているのか、また先行研究では「分極化」には複数の側面があることが指摘されているがどのような点で進んでいるのか、及び(2)政治エリートの言説は有権者の分極化にいかなる影響を及ぼすのか、という2つの問いに関する研究を進めてきた。 このうち(1)については、全米選挙調査(ANES)や総合社会調査(GSS)などアメリカで行われてきた既存の世論調査の2次分析を通じ、(a)共和党支持者と民主党支持者との間で、人工妊娠中絶や連邦政府が経済運営に果たすべき役割など個々の政策争点に関しては経年的に意見が乖離してきている一方、(b)多くの有権者は未だにイデオロギー的に一貫した争点態度を持っておらず、ある争点については保守的な意見を、他の争点についてはリベラルな態度をとることが多いこと、を実証的に示すことができた。これらの成果の一部については、日本政治学会の年次大会においてポスター報告を行うことができた。 また(2)については、テキスト分析など政治エリートの言説を計量的に分析するための方法の習得及び、選挙キャンペーンや議会におけるスピーチなどの文書データや選挙におけるテレビ広告に関するデータセットなどの収集・購入を行った。このうち前者については、その成果の一部をアメリカ南部政治学会(Southern Political Science Association)の年次大会において報告することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前項(「研究実績の概要」)の(1)については、アメリカにおいて行われている主要な世論調査の2次分析を今年度で大幅に進めることができた。また前項(2)については、研究費を分析手法の習得及びデータの取得に充てることができたため、今後の研究の見通しを立て、かつ研究遂行上の問題点を把握することができた。また、これらの成果の一部を学会において報告することもできたことも収穫であった。
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今後の研究の推進方策 |
前項(「研究実績の概要」)の(1)については、現在理想点推定を行うに際していくつかの方法論上の問題に直面しているため、その克服を次年度以降の課題としたい。また、既存の世論調査では分析することの難しいリサーチクエスチョンについて、サーベイ実験を含め解決方策を模索することも今後の検討課題である。 また前項(2)については、次年度以降も方法の習得及びデータの収集・購入を継続するとともに、エリートの言説と有権者における分極化との関係の分析も実際に始めていきたい。
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