研究課題/領域番号 |
15J04029
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
三部 倫子 首都大学東京, 人文科学研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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キーワード | 子育て / 生殖補助技術 / LGBT / グローバル化 |
研究実績の概要 |
本研究「LGBT家族のグローバル構築に関する実証的国際研究―家族社会学の再創造のために」の目的は、グローバル化社会のなかでのレズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー(LGBT)の子育てに焦点を当て、子どもを中心に成立する家族に何が集積するかを問うことにある。問いに答えるための方法として、社会学を足場にしたインタビュー調査と参与観察の質的調査を採用した。平成27年度の成果は、1)日本における質的調査の実施、2)国内学会での調査結果の報告、3)次年度に予定しているサンフランシスコでの在外研究の事前調査にまとめられる。 1) 日本における質的調査の実施:子育てに関心あるLGBTのグループAへのアクセスと参与観察を通した機縁法を通して、対象者とのラポール形成を進め、インタビュー協力者を募集した。その結果、レズビアン3名、バイセクシュアル女性2名、ゲイ男性1名、MtF(男性から女性へのトランスジェンダー)1名、FtM(女性から男性へのトランスジェンダー)2名、FtX(女性の身体だが女性の自認なく、かといって男性とは自認していない)1名の計10名からの協力を得られた。さらに団体主催イベントや関連イベントにグループAのメンバーとともに参加することで、LGBTの子育てをめぐる国内最先端の現場に触れ、情報収集をすることができた。 2) 国内学会での調査結果の報告:提供精子によって産まれた子を育てる女性を中心に上記の研究成果を、精力的に国内の学会で報告した。 3) サンフランシスコ在外研究の事前調査:2016年2月に10日程サンフランシスコへ滞在し、2016年9月から予定している在外研究の事前準備をすすめた。受け入れ研究者や活動家と面会し、主要な団体名等の情報が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
セクシュアリティや生殖といった困難なテーマにもかかわらず、国内で精力的に調査を行い、調査成果を学会で複数回報告している。調査と研究報告を同時並行的に進めたため、研究者との議論を深めることが可能となり、今後の調査課題も明確化された。 翌年度予定されているサンフランシスコでの調査準備も順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は女性中心のグループを介して調査を実施したため、インタビュー協力者に出産経験のある女性とその女性パートナーに偏りが見られる結果となった。今後の国内での調査では、女性カップルへ精子を提供したゲイ・バイセクシュアル男性や、トランスジェンダーへの調査を遂行する予定である。
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