グローバル化に伴う様々な発展は、世界各地での社会運動の波を引き起こしている。本研究ではこうした社会運動のトランスナショナル化メカニズムとともに、トランスナショナル化に伴い発生する問題意識や参加動機などの複数地域への伝播プロセスを解明することを最終目的として設定している。この目的を達成するため、本年度ではローカル空間における人々のグローバリズム、すなわち、トランスナショナルな問題意識の構築過程に着目しつつ、トランスナショナル社会運動(以下、TSM)の(1)発生、興隆、衰退、収束のプロセス、(2)運動目的が共有化/独自化と分かれていく諸要因、そして(3)運動展開と変化に係る諸要因の検討を進めた。 研究結果として、ローカス社会運動のトランスナショナル化に係るいくつかの要因の連関プロセス、すなわち、構造変化と国際制度の活用、そして地域社会の人々の意識変化の複合的・相互的な変化、並びにトランスナショナル/ローカル団体の多層的な相互作用が重要であることを捉えた。しかしながら、トランスナショナル社会運動の多様性に係る課題と変動に係る課題を残した。これらの点については、より精緻な調査を進めつつ、運動変化に係る詳細な分析を進めていく必要性を得た。
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